資金ショートとは?資金繰り対策して黒字倒産を確実に防ぐ7つの方法

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質問です。会社が倒産するのは次のうちどの状態になった時でしょう?

①赤字になった

②借金が多すぎる

③資金ショートした

正解は③の資金ショートした、です。どんなに売上が減少して赤字になっても、借金が多額になっても、資金さえショートしなければ経営を続けることができます。逆にお金が一瞬でも底をついてしまったら、次の日から営業を続けることができなくなってしまう、そんなこともあり得るのです。

資金ショートすると、売上が順調にもかかわらず倒産してしまう「黒字倒産」という状態になってしまいかねません。小手先の資金対策ではどうにもならない場合もありますので、根本的な対策を事前に練っておく必要があります。 また、多くの経営者の方が資金繰りに悩んだ挙げ句「自己破産して楽になろうか・・・」という悪魔のささやきに負けてしまうのです。しかし、自己破産してしまうと、あなたの資産や信用、人間関係、さらにはマイホームすら失ってしまう可能性があるのでおすすめできません。「自己破産」を回避して事業を継続する資金繰りの方法をぜひ選択してほしいのです。

そこで、資金ショートして黒字倒産してしまわないために、有効な7つの資金繰り対策をご紹介します。事前対策を3つ、土壇場での対策を3つ、さらに資金ショート寸前での一発逆転の対策を1つ、です。その前に、まずは資金ショートとはどのような状態なのかを明らかにしておきましょう。

資金ショートとは?

大ピンチ!お金がない状態

資金繰りは足し算と引き算の世界

資金ショート、というと少し難しそうにも感じますが、要は会社にどのぐらいのお金が入ってくるか、そしてどのぐらいのお金が出ていくかの計算です。つまり、資金繰りとは足し算と引き算の結果なのです。単純に考えれば、小学生でも電卓を使えばできる世界なのです。「自分は文系だから」と言い訳せずに計算に取り組んでみましょう。

資金ショートに関わる計算とは

経営には様々な数字が絡んできますが、単純に考えると理解しやすいものです。大まかに整理してみましょう。 まずは「足し算」です。これは、あなたの会社にお金が入ってくることです。売上、手形、株式発行などに加え、お金が足りないときには借入、増資を行います。また資産を取り崩すことでお金を増やす方法もあります。その他にも投資による収益、寄付や贈与もあるでしょう。

次に「引き算」です。これは、あなたの会社から出て行くお金のことです。仕入れ代金、人件費、光熱費、施設維持費などです。またお金を借りていたら返済も必要です。さらに、税金というとてもやっかいな代物もあります。他にも施設や機器の修繕、改装などを行ったり、原材料費が値上げされたりするとさらに出ていくお金が増えます。

「いつお金が入る?」「いつお金が出ていく?」が大事

そして、資金繰りで大事なのが「いつ?」という質問です。仮に1万円の商品が千個売れたら、

10,000円×1,000個=10,000,000円

です。 1千万円の売上があるはずですが、そのお金の入金が来月になるとしましょう。一方その商品の仕入れが単価5,000円だとすると、

5,000円×1,000個=5,000,000円

です。 5百万円は今月支払わないといけないとすると、お金が足りません。それならどうすれば良いでしょう?

・支払いを遅らせてもらう

・入金を早めてもらう

・お金を借りる

・他の手段で現金収入を得る

などが考えられますね。そのように、資金ショートを避けるために「いつ?」を気にかけながら足し算、引き算をしていくことが資金繰りの本質です。

2度目、3度目と回を追うごとに回復困難

資金ショートしてしまっては経営が成り立たないので、金融機関からの融資など経営者の皆様はありとあらゆる手を尽くすでしょう。そして、なんとかその場は切り抜けることができるかもしれません。ところが、そんなその場しのぎの対策では2度目、3度目とおそってくる資金ショートに対応しきれるものではありません

仮に資金ショートした状態で金融機関から利息10%で1,000万円の融資を受けた場合、収入が伸びない限り、あらたな借り入れをしながらも、その1,100万円のお金も返さなければいけなくなります。利息の支払いばかりが重なると、もう打つ手がなくなって黒字倒産という事態にもなりうるのです。

経営は絶好調!でも倒産してしまう?黒字倒産の悲劇 

バランスシートの罠

「勘定合って銭足らず」という言葉があります。計算上はお金があるはずなのに、金庫や通帳が空っぽ、という事態もありうるのです。そして黒字倒産になってしまうのです。黒字倒産は、文字通り黒字なのに倒産する状態です。いくら「来月には1千万円入ってきます」と言っても手元に現金がない限り、不渡りや銀行取引停止といった状態になるのです。

黒字倒産の大きな原因は、入金と出金のタイムラグです。そして、企業の財政状態を示す指標であるバランスシート(貸借対照表)では、このタイムラグが見抜けないことがあるのです。資金繰り対策をして黒字倒産を避けるためには、少なくともバランスシート(貸借対照表)、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3種類を覚えておく必要があります。

貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書とは

  特徴 効果
貸借対照表(バランスシート、B/S) 企業の一定期間の財政状態を「資産」「負債」「純資産」から見る(※資産=負債+純資産) 企業の財産や借金がわかる
損益計算書(P/L) 企業の一定期間の収益と費用を「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」から見る 企業の利益、つまりいくらもうけたかがわかる
キャッシュフロー計算書(C/S) 企業の一会計期間のキャッシュ(現金など)の増減を「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」から見る 企業の一定期間の財政状況が分かる

3つとも大事な指標ですが、貸借対照表と損益計算書では、「今、いくらお金が足りないか」が分からないという欠点があります。貸借対照表は「財産の残高がいくらあるのか」、損益計算書は「正しい利益はいくらか」は分かりますが、資金ショートを防ぐには現金の流れがつかめるキャッシュフロー計算書を特に理解しておく必要があります。

なぜ資金ショートがおこるのか? 原因を知って対策を練りましょう

資金繰りは工夫と努力次第でなんとでもなる

資金ショートは、いざその時になって慌ててしまってはどんどん悪手をとるばかりで事態は悪化していく一方です。なぜなら、頭の中がパニックになって正常な判断ができなくなってしまうからです。原因を知り、その対策を冷静に立てましょう。 資金ショートが起こる主な原因は

・入金の時期が遅い・・・売掛金や受取手形などの売上債権がなかなか入金されない

・出金の時期が早い・・・仕入れが現金決済、給与支払いが早いなど

・売上が減少している

・支出が増えている・・・人件費や物件費のコスト増、為替変動、原材料の高騰など

それらの原因に対してそれに適した対策をとるべきです。

倒産を回避する方法はたしかに存在する

上記4つの原因は複合的に絡まってきます。ですので、それぞれに応じた対策を探り出し、行動を起こすことが黒字倒産を回避する一番の方法です。常にキャッシュフロー計算書をにらみつつ、下記の7つの資金繰り対策を確実に実行していくことで黒字倒産は避けられます。

資金ショート回避のための事前対策3つ

①資金繰り表の作成・在庫管理

まずは事業計画書を完璧に近づける

資金ショートする原因は様々ですが、まず根本的な原因として計画がずさんなケースが圧倒的に多いです。その元をたどれば、そもそも事業計画書からいい加減な場合も多いのです。銀行などから融資を受けるためにとりあえず作る、そんな発想では資金ショートするのはやむを得ません。 文字通り完璧な事業計画書の作成は難しいですが、完璧に近づけるためのヒントを3つあげますのでご活用下さい。

・あなたが手がける事業の要点を10秒で簡潔に説明できる

・計画から実行までの筋道が通っている

・事実や実績に裏打ちされている(図やグラフを活用)

資金繰り表の作成

そして、資金ショート回避のためにぜひ経営者の方に取り組んで頂きたいのが「資金繰り表」の作成です。資金繰り表とキャッシュフロー計算書とは似ていますが、以下の表に示すとおり違いがあります。

 

  目的 期間 作成の義務
資金繰り表 将来の資金繰りを予測 必要に応じて自由な期間を単位として作成できる 任意
キャッシュフロー計算書 過去の一定期間におけるキャッシュフローの状況を把握 事業年度、四半期、半期などを単位として作成する 上場企業は強制

事業計画書、そして資金繰り表による将来の資金予測をより綿密にしておくことで、黒字倒産の大半は防ぐことが可能です。よく「準備8割、本番2割」と言われますが、まさにその通りなのです。もしこれまでどんぶり勘定で行っていたとしても、今からでも遅くありませんので、ぜひ資金繰り表だけでも今日から作成してみて下さい。参考までにエクセルファイルで資金繰り表のテンプレートを添付します。

資金繰り表のエクセルテンプレート

在庫管理

「売上は多いはずなのに、現金がないな」とお悩みであれば、在庫が過剰になっている可能性もあります。在庫過剰は黒字倒産の原因にもなり得ます。特にトレンドに乗ってヒット商品がどんどん売れるため、仕入れを強化したもののあっという間にトレンドが去ってしまい、在庫が残ってしまうことがあります。

衣料品など季節によって需要が全く異なる商品で在庫一掃セールを行うのも、この在庫過剰を避けるためのものです。在庫が多いと新たな仕入れもできなくなりますので、非常にやっかいなのです。「棚卸し」を計画的に行うことも有効な手段です。 なお、⑥の資産の現金化でご紹介する「在庫担保融資」で動産を現金化することも可能です。

②徹底的なコスト削減

立地についてもう一度考えよう

意欲の高い経営者の方は、立地にもこだわります。都心の一等地などに新規店舗を展開するのも良いですが、これが資金ショートの大きな原因にもなっているのです。確かに人通りが多い一等地に事務所や店舗を抱えればマーケティングに有利ですが、その反面家賃が高く、また多くの顧客が見込めてもその分人件費や仕入れコストも比例して増えていきます。立地の良い場所に店を出し、狙い通りたくさんのお客さんで賑わったとしても、売り上げのほとんどが家賃や人件費などに持っていかれてしまっては意味がないですよね。

しかも、1年中売上が安定しているとは限りません。また都心ほど流行に敏感なので、一時的に売上が上がっても、あっという間に流行が過ぎ去って売上が激減するリスクも同時にあるのです。そんな時でも家賃や人件費は当然支払い続けなくてはいけません。

ですので、あえて都心の一等地に事務所を抱えずとも、少し郊外で家賃が安い事務所を構えるという方法もあります。打ち合わせはSkypeなどでも可能です。また、ファッションセンターとして急成長しているしまむらの店舗戦略も役に立ちます。しまむらは、大規模化する他店舗と差別化する形で「その地域の最適規模」にこだわった店舗展開をし、さらに店舗密集地から外れた地方都市の郊外の立地を増やすことで、衣料専門店においてユニクロに次ぐ全国2位の売上を誇っています。

ファッションセンターしまむらグループ 

人件費の見直し

コストの削減として、人件費を見直す方法もあります。ただし、大事な従業員の給与ですので、お互いが納得できるレベルで行うべきです。間違っても従業員に反発を抱かせたり退職を促すような方法にならないようにしましょう。 真っ先に役員報酬を見直しましょう。ただし、役員報酬は資金ショートしそうなときに使うこともできますので、ただ削れば良いというものではありません。 フレックスタイム制の導入も検討しても良いでしょう。業種によっては必要のない時間帯に多くの従業員を配置するよりも、必要な時間に必要な従業員を配置したり、出勤や出社の時間を従業員の裁量に任せるなどの方法で効率的な労働環境にすることもできます。

さらに、交通手当など各種手当の支給見直しを行うこともできます。その場合就業規則の見直しを行う必要もありますので、社会保険労務士などと協議の上行うべきでしょう。実質給与カットになりますが、「最短経路を計算しなおした結果、この金額に変更します」など合理的な理由を提示すれば、従業員も納得してくれるはずです。他にも、出張費を領収書による実費支給にするなどしてもよいでしょう。

固定費の徹底削減

また、事業に必要な経費には固定費と変動費がありますが、固定費を可能な限り徹底的に削減することにより、売上が少ないときでも資金繰りが楽になります。売り上げが少なくても固定費は変わらずに出ていくからです。人件費など削りにくいものもありますが、必要ないのに使っているお金を浮かせることができます。

例として、コピーがあります。もしコピー機をリースで使っている場合、毎月の支払いが必要ですが、それを近くのコンビニでコピーするように変えたらどうでしょう?もしかしたら、これまで必要ないのにコピーしていた金額も含めて、大幅に経費削減できるかもしれません。他にも電話代を基本料のみにして、こちらから電話をかける場合はプリペイドカードでかけるなどの手段もとれるかもしれません。業種によっては難しいでしょうが、試してみる価値はありそうです。

③貸し倒れ対策

貸し倒れとは

また、あなたの企業が健全であっても、貸付金や売掛金が回収できずに損失になる、いわゆる貸し倒れの状態になると、資金ショートしてしまいますし、場合によっては共倒れになってしまいます。いきなり返済不能になる、ということはまれで、最初は延滞がおこり、それが一定期間続いて最終的に貸し倒れになる、というケースがほとんどです。

ですので、延滞があった場合にはきちんと請求するなどの手段を講じましょう。そして債権の回収は「早い者勝ち」ですので、スピードがものを言います。債権回収の見込みが薄そうであれば、他の債権者に先んじて相手と交渉する反射神経が必要です。また、ある程度取引相手を分散させることで、仮にそのうちの1つの取引が貸し倒れになっても、その他の取引で補填することで資金ショートを免れることもできます。

債権回収のノウハウを知ろう 

貸倒損失を計上しよう

それでも貸し倒れが発生した場合、その事業年度において貸し倒れとして損金の額に算入しましょう。

貸倒損失の基本を学ぶには 

資金ショートに即効性のある対策3つ

④銀行に対するリスケの申し込み

支払いを遅らせる「リスケ」の威力

①~③までの3つの対策を行っても、資金ショートがせまってくることはあるでしょう。そこで、資金ショートが間近に迫っている時の対策として、まずは支払いを遅らせるために銀行と交渉する「リスケ」をご紹介します。「リスケ」とは「リスケジュール」のことで、返済期限の引き延ばしや毎月の支払いを減額するという方法です。リスケ申込書、経営改善計画書、資金繰り予測表などの資料を用意して銀行の担当者と交渉し、無事に交渉が成立すればリスケが利用できます。

しかしこのリスケ、そう簡単に成功しません。リスケの成功率は20~30%といわれています。その確率を70~80%にまでアップさせるには、交渉相手である銀行員の思考回路を読み取る必要があります。

銀行員の本音

リスケを成功させるためにどのような戦術をとるべきでしょうか?「今、これだけ苦しい状況なので、支払いを遅らせてほしいです」「うちの会社は社会貢献のためにこれだけのことをしています」などとアピールするのはまだ弱いです。 ここで銀行員の本音を考えてみましょう。銀行員に対し、人情で訴えて自社の苦しい状況を訴えたり、社会貢献をしていることを強調しても、それは銀行員にとっては二の次のことなのです。それでは銀行員が一番気にしていることは何でしょうか?それは、「貸したお金をちゃんと返してくれるか?」です。

「リスケ」の成功率を50%アップさせるには

そこで、銀行員を説得するには、リスケが必要になった原因とその対策を示し、借りたお金を確実に返済する筋道を説明することです。そのために、

・返済が困難になった原因を明示・・・設備投資の失敗、収益悪化、売上金の焦げ付きなど

・返済再開の対策・・・コストダウン計画、収益アップの見通し

・返済の見通し・・・各対策に応じた返済見通しのシミュレーション

を、具体的で客観的なデータ(数字)として示すことが大事なのです。

⑤支払の遅延を行う 給与、税金、社会保険・・・

税金・社会保険の支払いは遅らせても良い?

資金ショートしそう、瀬戸際に立ったときでも様々な請求書が舞い込んできます。そんな時、どの支払いを優先すべきでしょうか?「税金や社会保険を支払わなければ」とお考えのあなた、とても素晴らしい考えですが、支払いの優先順位としては再考の余地があります。

実は、資金ショートしそうなときのお金の支払い順位は以下が正解です。

1位. 手形・小切手

2位. 人件費

3位. 仕入・外注費

4位. 家賃等

5位. 銀行借入

6位. 社会保険料

7位. 税金

税金や社会保険料が下位なのに驚かれるかもしれませんが、資金ショートの時にはこの順番を守るようにしましょう。

1位の手形・小切手は不渡りをいったん出すと銀行からの大きな信用低下につながりますので、絶対に避けましょう。2位の人件費は従業員の生活を守る上で確保するのは経営者のつとめです。5位に銀行借入がきているのが意外と感じられるかもしれませんが、先に述べたリスケという方法で支払いを猶予してもらうことが可能です。6位、7位の社会保険料、税金も当然将来的には必ず支払う、という前提で一時的に遅らせることができると考えましょう。

なお、社会保険料、税金の支払いが遅れると、年率14.6%の延滞税がかかる他、会社の不動産や買掛金、預金などが役所に強制執行で差し押さえられる可能性がありますのでご注意下さい。

支払いサイトの延長をお願いする

支払いサイトの延長も非常に有効です。支払いサイトとは、なんらかの商取引をするときに、代金の締め日から代金が実際に支払われるまでの期間のことです。例えば、「月末締めの翌月払い」を「月末締めの翌々月払い」にしてもらうことができれば、30日分の時間的余裕、精神的余裕が生まれます。

支払いサイトを延長する方法は、電話やメール・FAXでは効果が弱いです。資金ショートしそうで切羽詰まった状況であれば、経営者自らが出向いて頭を下げるぐらいの熱意があれば、成功しやすいでしょう。また、相手に不信感を与えたり不利益を与えないように、経営が健全であることのアピール取引額を増やすなどの配慮も同時に行いましょう。

ここでやってはいけないことは、こちらが一方的に強い立場で相手に支払いサイトの延長を強要する行為です。例えば下請法では、一定規模の業種に製造委託や情報成果物委託をする場合に60日以上の支払いサイトの設定をしたら違法となってしまいます。60日を超えた場合、公正取引委員会から遅延利息の支払いを命じられることもあるのです。

下請法(下請代金支払遅延等防止法) 

入金を早めてもらう

支払いサイトの延長と関連して、入金を早めてもらう方法も有効です。いわば「前借り」です。取引先に交渉して、30日後の入金を1週間後に早めてもらうなどです。これも支払いサイトの延長と同じく、経営者自らが頭を下げるのが一番効果的でしょう。日頃お世話になっているあなたの頼みなら無碍には断れないかもしれません。 もし売り上げ先が手形を切る会社である場合、期日はそのままで手形を早めに切ってもらえるように頼むこともできます。

⑥資産の現金化

定期預金の取り崩し

資金繰りで切羽詰まった場合、会社にある資産を現金化することで急場をしのぐこともできます。まずは定期預金の取り崩しです。せっかく積み立てた定期預金を解約したくない場合は、定期預金を担保にして資金調達するという方法(預担)もあります。

手形割引の利用

もし期日までまだ期間がある手形をもっていたら、それを期日前に現金化することもできます。それを手形割引といいます。受け取れる金額は減ってしまいますが、今すぐ現金が必要な場合には有効な資金繰りの方法です。

不動産担保ローン

土地や建設物などの不動産を担保にしてお金を借りる、それが不動産担保ローンです。返済できないときに不動産を失うリスクが大きい一方、低金利で巨額のお金を借りることができます。

在庫担保融資

動産(在庫・原材料機械設備)を担保にして、銀行などからの融資を受けてつなぎ資金にする方法が、在庫担保融資です。具体的には、あなたの会社の倉庫に製品やその原材料、食品、生花、お酒などなんらかの動産があれば、それを担保にして現金が手に入るという仕組みです。

遊休資産の売却

業務と関係のない遊休資産がある場合、売却を検討しましょう。業績が好調だったときに福利厚生目的で購入した土地や建物や投資目的の会員権などは、現金化できる上に固定資産や管理費の節減にもつながり一石二鳥です。 注意点としては、購入時に比べて著しく価格が下落している可能性があることです。その売却損がリスケの交渉に悪影響を与えることも考えられます。資金ショートのために背に腹は代えられない、という場合に限った方法と考えるべきでしょう。

生命保険の見直し

もし積み立て式の生命保険に加入している場合、それを解約して掛け捨て式の生命保険に加入すると、解約返戻金が手に入り、保険金の節約につながる場合があります。また、解約せずに解約返戻金の90%程度で借り入れを行うという裏技もあります。

経営者自身のお金を会社に入れる

これは、経営者自身の痛みを伴う方法ですが、経営者が会社にお金を貸す、給料を未払いにする、または経営者やその家族が株主となって会社の増資を行うこともできます。

融通手形

これはあまりおすすめできない方法です。「空手形」とも呼ばれます。通常、手形はなんらかの商取引があったときに振り出されますが、商取引なしでも振り出されるのが融通手形なのです。即効性がある反面、濫用すると返済が滞ったときに貸し方、借り方が共倒れしてしまうリスクが高いのでおすすめできないのです。

いよいよ資金ショート寸前、対策はこの1手

⑦ノンバンクの活用

ローン・信販会社

①~⑥の対策を行ったにもかかわらず資金ショートが目前に迫っている、そんな時は一刻も早く現金を手に入れなければなりません。そこで、すばやく返済できる見込みがある場合であればローン・信販会社を利用する方法があります。銀行や日本政策金融公庫などからの融資と比べて金利が高く金額も少なくなる傾向がありますが、直近で資金が必要なときに一時的に資金ショート回避するためには有効な一手です。

ローン・信販会社のビジネスローンにもいろいろ種類があります。参考までに、評判の高い2社のビジネスローンをご紹介します。

  金利(実質年率) 限度額 保証人・担保 返済期間
アコム「ビジネスサポートローン」 12.0%~18.0% 1万円~300万円未満 不要 最長8年7ヵ月・(89回)
アイフル「事業サポートプラン」 6.0%~18.0% 1万円~500万円未満 不要 最長10年(120回)

 

アイフル

ローン・信販会社の最大の注意点は、やはり金利が高くなりがちなことです。ですので、あくまでつなぎ資金として考える方が良いでしょう。ところで、ローン・信販会社と同じぐらい手軽に利用でき、黒字倒産を回避できる決定だともいえる資金調達方法があると聞いたら興味有りませんか?それが以下にご紹介するファクタリングという資金調達方法です。

ファクタリング

このファクタリングを利用するには売掛金があることが条件ではありますが、日本ではまだあまりなじみがないもののヨーロッパではよく知られた資金調達方法です。なぜこの方法が資金繰りに適しているか、その理由は、黒字倒産するそもそもの原因である「支払いと入金のズレ」を見事に解消する仕組みだからです。

いくら1万円の商品が千個売れたといっても、実際に入金がなかったらあなた会社の財布にはまだ現金がないわけです。これまで①~⑥まででも資金ショートしないための事前対策、リスケや各種支払いの遅延、様々な資金調達方法をご紹介してきましたが、そもそも「売上があるはずなのにまだ現金が手元にない」という状態を解消できれば問題解決ですよね。そんなコロンブスの卵的な発想を実現させてくれるのがファクタリングなのです。

ファクタリングの優れている点を列挙しますので、興味がありましたらその下の「まずは無料診断してみて下さい」をクリックし、あなたの会社がファクタリング可能かどうか無料で診断してみて下さい。

【ここがすごい!ファクタリングの魅力】

・審査期間が早い(最短即日)

・債務超過または税金滞納の場合でも売掛金さえあれば資金調達可能

・信用情報(ブラックリスト)に左右されない

・融資とは審査基準が違うので融資を断られても関係ない

・「負債」ではなくあくまで「資産」として取り扱われる

・取引先に内緒でできる

まずは無料診断してみて下さい。(10秒で診断できます!)

まとめ

資金ショートして黒字倒産になってしまう、そんな悲惨な状態を回避する7つの対策をご紹介しました。これらの資金繰りを確実にこなすことで黒字倒産をまぬがれることができるでしょう。ただし、これら7つの対策(主に④~⑦)の多くは問題の先送りにすぎません。売上が好調で、コスト管理もしっかりしていて、入出金がスムーズに行われていれば、そうそう資金ショートすることはないでしょう。

ですので、これらの対策をあてにするのではなく、あくまでも緊急事態を回避する目的で使用されることをおすすめします。

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