起業に必要なことを教えてくれる漫画をご存じですか?
それは週刊少年ジャンプで好評連載中の漫画「ONE PIECE」です。
海賊王を目指すために、仲間をどんどん増やしながら世界中を冒険するファンタジーです。
ビジネス・投資系の漫画でなく、なぜONE PIECEなのでしょう?それは、主人公のルフィの言葉や行動、仲間との関わりなどが起業したい人に対し、起業に必要なことを教えてくれているからです。
本記事では、起業したい人が身につけるべきルフィから学べる教えを8つのステップに分けてご紹介していきます。
今までONE PIECEを読んだことがある人は新たな気づきがあるように、読んだことがない人にもできる限り分かりやすいようにまとめました。
目次
ステップ1 夢(=ミッション)を持つ
起業に必要なこと
あなたは起業に必要なことは何だと思いますか?お金?場所?設備?知識?経験?そのどれもが大事なのですが、一番大事なのはあなたがなぜ起業したいのか、つまり「夢」です。
ルフィの夢
海賊王になる
「海賊王におれはなる」、この台詞からルフィの冒険は始まりました。
お金も経験も仲間も船さえもないまま、たった一人で大海原に出発したルフィは、その海賊王になりたいという夢だけをもって故郷を離れ、仲間を次々増やし「ルフィ海賊団」を作ったのです。
あなたが本当に起業したいのであれば、他の何がなくても「夢」だけは持ちましょう。ミッションと言い換えても良いでしょう。
そのミッションがしっかりしていて、共感を生む内容であれば、あなたと一緒に仕事をしたい仲間は運命に導かれるように自然と集まってくるものです。
「ONE PIECE」を手に入れる
漫画のタイトルになっている「ONE PIECE」をルフィは目指しています。「ONE PIECE」は「ひとつなぎの財宝」の意味ですが、それが具体的に何を指すのかについては作中でまだ明かされていません。なぜそんな抽象的な目的に仲間はついてくるのでしょうか?
実は、あまりに具体的すぎる小さな夢に人は共感しません。一見ばかげているような夢をもっている存在に人はひきつけられるのです。
経営の神様と呼ばれた実業家・松下幸之助さんも戦後間もない頃「電気器具を水道の水のように無尽蔵に安く生産する」という途方もないミッションを掲げました。まだ小さな町工場だった頃の話です。その後どうなったかは言うまでもないですね。
自由な世界を作る
ルフィは束縛されません。馬鹿にされたりからかわれても平然としていますが、誰かの支配下に入ることは極端に嫌います。
逆にルフィも他人を一切支配しません。
ルフィが究極的に目指しているのは、他人を支配しない世界を作り、その中でも最も自由な王様になることなのかもしれません。
仲間もルフィの夢に共感する
ルフィ海賊団一臆病なウソップという船員がいます。そのウソップが苦戦をしいられ敵前逃亡しようとします。しかし、その敵が「海賊王になる」というルフィの夢を「身の程知らずのバカ」と嘲笑するのを聞いて踏みとどまり、瀕死の重傷を負いながらもその相手を倒すのです。
ウソップだけでなく、他の仲間も他人がルフィの夢を笑うのを許しません。
あなたの起業にかける熱意が本物であれば、あなたの仲間も真剣にその夢を支えてくれることでしょう。
ステップ2 自分の夢に仲間を巻き込む
リーダーシップの基本
仲間を惹きつける
ルフィの最も重要なスキル、それは仲間を味方につけるスキルです。
ルフィは体がゴムのように伸びる能力を活用した戦闘能力を持つのですが、それを使って暴力で仲間を増やしたことは一度もありません。むしろ自分の弱さや欠点は隠さず、ありのままの姿で仲間を増やしています。
このスキルは暴力や打算とは正反対のものです。
起業して仲間になってくれる人を探すとき、当然給料や労働条件が絡んできますが、それ以上にステップ1のミッションに共感してくれる人を探し、あなたの正直な気持ちを語ることのほうが大事でしょう。
リーダーシップとマネジメントの違い
起業するときにマネジメントが必要になります。もちろんマネジメントも大事ですが、それ以上にリーダーシップがないと話になりません。「7つの習慣」という本でその違いを明確に述べています。
ジャングルで道を切り開くときに、より効率的に道を開くことがマネジメントですが、ジャングルの一番高い木に立って「その道は違う、切り開くのはこっちの道だ」と叫ぶのがリーダーシップだというのです。
ルフィも船の針路だけは絶対に他人に譲りません。そして、部下の意見を参考にしつつも、常に自分で次の目的地を指し示すのです。
価値観の共有
なぜみんなルフィに協力するのか
ルフィの海賊団の仲間はルフィと価値観を共有しています。そして、その価値観は船員それぞれの価値観とも合致しているのです。
ルフィは自分の夢だけでなく、仲間の夢や価値観も大事にし、実現しようとしているからみんな協力するのです。
あなたの部下に対してもただ給料を払うだけでなく、人生レベルの価値観を語り合い、共に実現する覚悟はあるでしょうか?
揺るぎない決意
ルフィの考え方はとてもシンプルで迷いがありません。シンプルだからこそ揺るがないのです。
起業するとあれこれ考えてしまい、迷ってしまうことがあるでしょう。そんな時は、できる限りシンプルに物事を考えましょう。
枝葉末節は捨てるぐらいで、幹の部分は揺るがせない、そんなイメージが大事です。
仲間の期待を裏切らない
もう一つ、ルフィの特徴として仲間の期待を裏切らないことが上げられます。ステップ3で述べるように、時には自分の命をなげうってでも、仲間の期待を守ろうとするのです。
ステップ3 仲間のために命をかける
仲間の真意を読み取る
ルフィは普段は鈍感ですが、仲間の真意を読み取る能力に長けています。それは常に仲間を大事に思っている証拠でしょう。
ある時ルフィ海賊団はロビンという仲間に裏切られ、窮地に陥ります。しかしルフィはロビンの真意は違うところにあると思い、ロビンを追いかけます(実際にはロビンは自分の身を犠牲にしてルフィ達を助けようとしていたのでした)。その後、命をかけてロビンを助け出します。
起業すると仲間と思っていた部下から裏切られることもあるかもしれません。しかし、表面的なことだけを見るのでなく、真意を探る努力を常にしましょう。
原因があなたにあるのかもしれませんし、深い事情があるのかもしれません。あなたが部下を心から心配し相談に乗り、場合によっては体を張って守る決意があると盤石な信頼関係が築けるでしょう。
本当に大事なことがわかっている
ルフィは世間の常識を無視することがあります。それよりも自分が正しいと思ったことを優先することがとても多いです。これは、起業に必要な要素です。
世間と同じことを無難にやっていたいのであれば、サラリーマンをやっていた方がよいでしょう。そうでなく、「本当はどうあったらよいのか」について常に考えている人は起業に適しています。
ルフィは、ある王国でレベッカという女性に会います。レベッカは王女なのですが、父親はキュロスという元罪人です(母親は死別)。ドフラミンゴという海賊に王国を奪われレベッカは剣闘士に身をやつすのですが、ルフィ達の活躍で王国を奪還し再び王女になる予定でした。キュロスは「罪人の自分とレベッカが一緒にいてはいけない」と身を引くのですが、ルフィは王宮に乗り込みレベッカに「本当にそれでいいのか?」と詰めより、レベッカから「王女であるよりも父親と一緒に暮らしたい」という真意を聞くと、レベッカをさらいレベッカを父親であるキュロスの元に連れて行くのです。
大事なことは時として世間の常識と違っています。あなたも起業した後、場合によっては部下を守るために常識や慣習と戦う必要があるかもしれません。その時に、本当に大事なことを見失わないという考え方をルフィの姿勢に学べると思います。
ただし、あなたは海賊を目指すわけではありませんので、最低限コンプライアンスは守るようにしてくださいね。
ステップ4 自分の弱さを隠さない
弱さは強さ
起業するときは、何でも自分でできる必要はありません。1人で起業する人は、2人のチームで起業する人たちよりも事業を成功させるのに3.6倍の時間がかかるともいわれています。
そこで、自分の弱さは隠さず、むしろ積極的に他人の助けを借りる姿勢はとても大事です。 ルフィは自分の弱さを自覚し、「おれは助けてもらわねぇと生きていけねぇ自信がある」とまで言い放っています。
アメリカの鉄鋼王と言われた大実業家、アンドリュー・カーネギーは墓碑銘に「自分より賢き者を近づける術知りたる者、ここに眠る」と書かれています。カーネギーは鉄鋼については素人だったそうです。
あなたもルフィやカーネギーと同様に、他人の力を存分に借りながら成功して良いのです。
絶望した時
ルフィは、一度だけ自分の夢を諦めかけ自暴自棄になったことがあります。それは、義兄のエースの救出に失敗し、目の前で死なせてしまったからです。その時はルフィの仲間とも離ればなれになっていました。
あなたもビジネスでうまくいかずに辞めてしまいたいという誘惑に駆られることはあるでしょう。しかし、ダレル・ロイヤルの手紙にあるようにそこからいかに素早く立ち上がるかが大事です。
しかし自分一人の力では立ち上がるのに時間がかかる場合があります。そんな時に大事なのが、仲間の存在なのです。 ルフィもジンベエという人物の働きかけで「仲間がいるよ」と気づき、立ち直るのです。
ステップ5 部下と対等の関係を築く
風通しの良さ
ルフィ海賊団の特徴は、船長と船員がフラットな関係だということです。会社で例えれば自由な社風であるということでしょう。
あなたも風通しの良い、ガラス張りの職場環境にしたいのであれば、ルフィとその仲間達に近い関係が望ましいのかもしれません。
いざというときは威厳を放つ
普段のルフィは、とても船長とは思えないほどいたって「普通」です。船員もルフィを船長としてではなく対等な船員のように扱います。ルフィもそのことを一向に気に留めません。
しかし、ピンチに陥ったときは圧倒的な存在感を示します。また、仲間もルフィを船長として立てます。
このメリハリが大事なのです。
ステップ6 わがままである
実行力に優れている
完璧を求めてはいけない
起業するときに重要なのは「完璧を求めてはいけない」ということです。
準備している間にもどんどんビジネスチャンスは生まれ、そして消えているのです。
まずはやってみる
ルフィは最初から完璧を求めていないので、とりあえず何でも試してみます。それが周囲からはわがままと映ります。
見切り発車で無鉄砲なルフィの行動は時として失敗しますが、行動しないと何も始まりません。
起業したいといくら思ってもいつまでも起業できませんし、準備ばかりしてもダメです。
起業を決断するときには多少強引でわがままであっても実行することが大事なのです。
ルフィの価値観
夢実現のためなら命をかける
ルフィは、ステップ1の自分の夢を実現するためなら平気で命をかけます。それは、結果ではなく過程を楽しんでいるからです。これは起業に必要な心構えです。
自己啓発の父と言われるナポレオン・ヒルは世界的名著「思考は現実化する」の中で成功を「他人の権利を尊重し、社会正義に反することなく、 自ら価値ありと認めた目標を、黄金律に従って一つひとつ実現していく過程である」と定義づけています。
要約すると、成功は結果ではなく過程であると言っているのです。
ルフィも(「社会正義」に反しているかどうかは別にして)この定義通りに行動しているのですね。
仲間が第一
ステップ3で述べたとおり、ルフィは仲間のためなら自分の命さえかけます。
つまらない冒険はしない
ルフィはある島でONE PIECEの正体を知っているというレイリーという人物に会います。仲間の一人がその秘密を聞き出そうとするとルフィはそれを遮り、「それをここで聞くぐらいなら海賊をやめる(=冒険をやめる)」と言い出します。 安易に答えが得られるのならやらない、というルフィらしい考え方です。
ビジネスにおいて正解はありません。そして、簡単に答えを教えてくれる人もいないのです。
起業をして失敗する人の多くが目の前の小さな答え(売上や短期的成果)にこだわり、本来の目的を見失うと言われています。ステップ1の夢=ミッションを常に思い返し、つまらないビジネスはしないようにしましょう。
ステップ7 間違いを素直に認める
経営者には、ステップ6でのべたような一見わがままにも映る頑固さも必要ですが、間違いを素直に認める素直さも同様に重要です。
ルフィは仲間が高熱を出しある島に立ち寄り助けを求めますが、警備兵から銃撃されカッとなり、反射的に反撃しようとします。その時、ビビという仲間に止められ、「あなたは船長失格よ」と言われます。そして、土下座をして高熱を出した仲間を助けてほしいと訴えるビビの姿を見て「うん、ごめんおれ間違ってた」と言い、ビビと一緒に土下座をしたのです。
起業したいと思われているあなたは、おそらく実行力が高く簡単に意見を曲げない強さをおもちだと思います。でも、時と場合によっては素直に自分の間違いを認めることも起業に必要なことなのです。
ステップ8 パートナーシップ型リーダーである
リーダー3つのタイプ
リーダーには「カリスマ型リーダー」「管理型リーダー」「パートナーシップ型リーダー」の3種類があると言われています。そしてルフィは「協調型リーダー」です。現代社会で成功するのはこの「パートナーシップ型リーダー」だと言われています。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
リーダー3つのタイプの詳細
カリスマ型リーダー
カリスマ型リーダーは、ONE PIECEで登場する白ひげティーチという海賊のようなタイプです。ティーチは実力もあり、部下の信頼も厚く、まさにカリスマ型リーダーの典型です。
しかし、カリスマ型の経営者が退社したり逝去した途端、業績が悪化する企業はとても多いのをご存じでしょうか?白ひげティーチ亡き後、白ひげ海賊団も急速に勢力を失ってしまいました。
具体名は出しませんが、戦後日本の復興や高度経済成長を支えた企業がカリスマ型リーダーがいなくなってダメになった例はいくらでもあります。
戦国武将の武田信玄もカリスマ型リーダーでした。信玄が存命中は、戦においてはほぼ負け知らずでした。ところが信玄が病気で亡くなった後は、部下が全く変わっていないにも関わらず敗戦を繰り返し、武田家は滅亡してしまいました。
管理型リーダー
管理型リーダーとして、ONE PIECEでは、ルフィ達の敵「海軍」が上げられます。海軍は上意下達の組織で、上司の命令は絶対遵守の世界です。
海軍は、ルフィの目指す自由な関係とは対極の世界です。
あなたが起業してまっさきに悩むのは部下の管理・育成だと思われますが、組織論を重視するあまり、部下を支配するような管理体制になってしまう危険性がありますので注意しましょう。
パートナーシップ型リーダー
ルフィはこのパートナーシップ型リーダーの典型です。そして起業したいあなたにもぜひ目指していただきたい姿です。
特徴は、これまで述べてきたステップ1~7で書いてきたとおりです。
そして、このパートナーシップ型リーダーは、カリスマでなくても、管理する能力がなくても、普通の人がなれるのが特徴です。
特に、現代のように時代の移り変わりが激しく情報に満ちあふれている時には、一人のカリスマの意見はすぐ古くなりますし、管理してもすぐ限界が来ます。仲間と助け合い、仲間に持ち上げられながら成功するのが王道なのです。
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まとめ「宴」が意味すること
ONE PIECEでは、一つの冒険が終わると「宴」が催されます。それまでの戦いの疲れを癒し、いさかいを忘れ、時には敵も交えて宴会騒ぎをするのです。ここにルフィが本当にやりたかったことが表れているように思うのです。
「宴」の場では夢を共有する仲間が集まり、無礼講の関係で(普段からかもしれませんが)飲み食いします。
あなたが起業した直後は事業を運営するのに精一杯で部下の功績や苦労をねぎらう余裕がないかもしれません。でも、そんな苦しい時期を支えてくれる部下という仲間がいるからこそあなたは成功できるのです。
それをルフィがどんなに疲れていても「宴」を催す姿から学べるのではないでしょうか?
もしかしたら、ルフィの究極の目的は、自由な世界になった後に世界中で宴をすることなのかもしれませんね。