ベンチャー起業したい人にマイナス金利が大チャンスである4つの理由

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2016年1月29日、日本銀行(日銀)の黒田総裁が衝撃の発表をしました。

これまでも「黒田バズーカ」と呼ばれる大胆な発言をしてきた黒田総裁ですが、今回の発表は特に印象が強いものでした。

その発表とは、「マイナス金利政策」の導入です。

これまでも約15年に渡る長い期間、日本銀行は「ゼロ金利政策」を続けて来ていました。それでも回復の兆しがなかなか見えない日本経済に業を煮やしたかのように発表された「マイナス金利政策」。日本で政策金利としての金利をマイナスにするのは史上初めてのことです。

今回のマイナス金利政策は、会社を起業するには大チャンスの到来です。

なぜ大チャンスなのか、それは「融資が受けやすくなる」「貯蓄よりも消費が増える」「政府も起業を後押しする」「不動産が有利に手に入る」という4つの道が開けるからです。

まずはマイナス金利の仕組みを理解し、ベンチャー起業に有利なこのチャンスをうまく活用しましょう。

マイナス金利とは?

マイナス金利の仕組み

日銀は「銀行の銀行」

まずマイナス金利は「お金を預けると逆に銀行に利息分のお金を取られて損をする」という考え方ですが、これが適用されるのは日銀と一般の銀行などの金融機関との間でのことです。

これは、日銀は「銀行の銀行」と呼ばれ、銀行などの金融機関は他の金融機関などとお金をやりとりするために日銀にお金を預けているのですが、その時に使われる「当座預金口座」と呼ばれる口座に預けられているお金の一部の金利をマイナスにする、ということなのです。

日銀と一般の銀行の関わり

マイナス金利が設定されたのは、日銀の当座預金と呼ばれるものの一部です。 一般の銀行は、日銀のこの当座預金にお金を預けることができます。

通常であれば、銀行は日銀にお金を預けるだけで日銀から利息を貰えるので、運用が楽になる上、安全です。

しかし、日銀は預けられる預金額をコントロールしています。そして、長い間「ゼロ金利政策」を続けて来た日銀は、今回日本初の「マイナス金利」に踏み切ったわけです。

銀行が借りるお金の金利がマイナスになる

日銀のマイナス金利をごく簡単に言うと、 「預金をしているとお金をとりますよ!」と銀行に対し宣言したということです。

一般の銀行の立場にしてみれば、日銀の預金口座からお金を引き出してその金額を自分で運用しなければどんどんお金が減ってしまうわけです。 ということは、銀行は企業への融資をしないともうかりませんので、融資の金利が下がったり基準が緩やかになり、お金の巡りもよくなって景気がよくなるのです。

現実には、世界経済への不安などから日経平均株価が上昇した後に急下落したりもしていますが、これから起業したいあなたにとっては追い風であると言えるでしょう。

国民の預金がマイナスになるわけではない

よく誤解されがちなのですが、日銀がマイナス金利をしたからといって、国民(つまりあなた)の預金がマイナスになるわけではないです。

例えば、あなたが銀行に100万円預けたとしましょう。 そこで、金利が年利-0.1%になったら、 1年後に預けた100万円が99.9万円になってしまいます。 これでは、タンス預金したほうが良いですね。

ですので、銀行預金は、超低金利ではあるもののプラスにはなっているのです。

マイナス金利を悪用した詐欺も表れているようなので、お気をつけ下さいね。

タンス預金詐欺

それでは、以下でマイナス金利がなぜベンチャー起業に有利に働くのか、具体的に4つの理由から検証していきましょう。

マイナス金利がベンチャー起業に有利な4つの理由

理由その1.融資が受けやすくなる

ベンチャー起業に必要な資金確保

ベンチャー起業するには、自己資本(自分の貯金など)だけでは資金が足りないケースがほとんどです。ですので、お金を借りる必要があります

親や親戚・友人にお金を貸してくれる人がいない場合は、金融機関から借りないといけません。

生活資金の足しであれば消費者金融などでも良いですが、起業のために巨額のお金が必要であれば、銀行などから借りた方が金利も安く有利です

銀行もお金を貸したがっている

一般に「雨が降っているときに傘を貸さず、晴れているときに傘を貸す」と揶揄される銀行業ですが、マイナス金利になったことで日銀にお金を預けていても逆に損するようになってしまったので、お金を貸さないと業務が成り立たなくなってしまいます。

しかし、長引く不況で多くの既存企業は銀行から融資をしてまで事業を拡張しようとはしない傾向が強いです。ですので、銀行にとってベンチャー起業を志すあなたのような存在は有り難い存在なのです

ベンチャー起業を決断するのは今!

銀行等に預金していても金利はマイナスかほぼゼロ、「タンス預金」をしても、インフレ率年2%であればお金の価値が目減りします。つまり、今の状況ではお金を貯金し保有している方がリスクが高く、逆に賢く運用することの方がリスクが低いのです。

投資と起業、どちらが有利?

最も安全な資産運用だと信じられていた日本国債の金利をチェックしてみると、10年国債の利回りが、0.1%を割り込み、さらには残存期間が9年までの国債利回りはマイナスになったことからも賢くお金を運用した方が良いことは明らかです。

そこで、お金を運用する方法として、自分でビジネスを立ち上げる「起業」と不動産などの「投資」が有効なわけですが、黒田総裁のマイナス金利導入発表後の株式市場や外国為替などの乱高下を見ると、「投資」はかなりリスクが高いでしょう。ですので、「起業」が一番確実であると言えます。

マイナス金利で国民生活にも影響が!

理由その2.貯蓄よりも消費が増える

賢い消費者が増える

「銀行にお金を預けていたら損するのではないか?」そう勘違いする人が多いほど、マイナス金利は影響を与えています。それが消費者の購買意欲を促す可能性があります。

実際、理由その4で詳しく述べるように不動産は取得しやすくなっていますし、原油価格も低迷が続きそうです

消費者にとってはお金を貯めるよりも使った方が得な状況になっていると言えます。

ただ、今の日本はすでに大量生産大量消費の時代ではないので、より価値のあることにお金を使う賢い消費者が増えています。そこに会社を起業するヒントが隠されているように思います。

お客さんの心理をつかむ

会社を起業するには、自分がやりたいことをやるのが一番、と思われがちですが、それよりも大事なことがあります。それは、いかにお客様の心理・ニーズをつかむかです。

元日産の水野和敏さんは、「自分がやりたくなくて、他人が求めていること」を真剣にやることがビジネスの大成功につながると述べ、自身が日産GT-Rというスポーツカーの開発に携わり世界的な名声を得ました。

その一方で、ベンチャー起業で失敗する人の多くが「自分の好きなこと」にフォーカスしすぎてお客様の声や要望を無視してしまうことだと言われています。

水野和敏さん公式ホームページ

理由その3.政府が起業を後押しする

政府と日銀の関係

マイナス金利の発表は日銀によるものです。日銀は政府の一機関ではなく、政府とは独立した存在なのですが、政府が日銀に55%の出資をしていますので、日銀の意向と政府の意向は密接な関係があります

今回のマイナス金利政策も、日銀の黒田総裁が安倍内閣総理大臣に相談・確認した上で行っているものです。ということは日本国政府もマイナス金利の導入に納得しているということで、政府もベンチャー起業しようとしている個人を後押ししていると考えられます。

日本銀行をわかりやすくマンガで解説!

理由その4.不動産が有利に手に入る

不動産が安い仕組み

マイナス金利の導入で住宅ローンやマンション購入には非常に追い風になりました。 なぜなら、金利の変動は不動産価格と連動しているからです。

もともとゼロ金利政策が続く日本では金利は低い水準でしたが、マイナス金利の発表でさらに不動産が求めやすくなっています。 会社を起業する時に、通常は事務所を構える必要がありますので、金利が低い今のうちに不動産を取得しておくのは有利なのです。 2017年4月には消費税が10%に上がる予定なので、それまでに取得しておくと得でしょう。

日本銀行がマイナス金利にふみきった真の狙い

円安・株高

日銀は、マイナス金利政策によって円安・株高の状態になることをねらいました。一時的に円安・株高になったものの、その後日経平均株価が3日間で約2,000円落ちるという急下落となり、ドル円も110円台にまで円高になりました。

進む円高 NHKニュース

これはマイナス金利政策の影響と言うよりは、アメリカを含めて世界経済全体が低調であったため、安全な円に投資家が殺到したためとも言われています。そう言う意味ではタイミングが悪かっただけとも言えるかもしれません。

長期金利を下げる

これについては、マイナス金利で一定の成果が現れているようです。国債の一部の金利がマイナスになったにも関わらず国債を買う人が多いという状態は、奇妙な現象のようにもうつりますが、投資家の心理としては多少損してでも安定している国債に投資した方が良いということでしょうか。

1,000兆円を越えると言われる巨額の赤字国債に悩む政府にとっては国債の金利がマイナスというのは望み通りの展開と言えるかもしれません。

赤字国債カウントダウン

アメリカの利上げに逆行したのはなぜ?

アメリカの利上げ政策

9年半ぶりの利上げ

2015年12月15日アメリカは続くゼロ金利政策に終止符を打つために政策金利を上昇させると全会一致で決定しました。これにより、リーマン・ショックから続いたゼロ金利政策に終わりを告げ、なんと9年半ぶりの利上げとなりました。

アメリカが利上げに踏み切った理由

リーマンショックから7年経った2015年、シェールガスバブルなどの効果でアメリカの経済は堅調に転じました。そのため、もう危機は去ったため、通常の金融政策に戻しても大丈夫だとFRBは判断したのだと考えられます。

アメリカ利上げの影響

新興国への影響

この発表はアメリカという一国の利上げに過ぎないのですが、世界中から注目されています。

その理由は、ドルが世界の基軸通貨であるからに他なりません。

そして、今回の利上げで最も影響を受けていると言われているのが東南アジアや南米などの新興国のようです。 国内資本が脆弱な新興国は、外国からの短期マネー(ドルなど)で資金をまかない急成長を遂げています。そんな中で、アメリカが利上げをすると、その外国からの短期マネーが急速に減ってしまう懸念があるのです。

ゼロ金利政策によってアメリカから新興国にあふれ出したドルが逆流してアメリカに戻ってしまう可能性もありますね。

日本への影響

アメリカの利上げ発表が、日経平均下落の一因になっているのかもしれません。投資家にとっては、金利の低い日本にドルを預けるよりも、その資金を引き揚げて金利の上がったアメリカに投資した方がよいからです。

そう考えると、マイナス金利を導入した日本が、思惑と外れて日経平均下落に到っている理由が分かるような気もします。

日本はなぜアメリカに追従しなかったか

アメリカが利上げを発表したことで、一時は日本も追従してゼロ金利政策に終止符を打つのでは?とも予測されましたが、実際には日本はマイナス金利発表を行いました。

政策審議委員において5-4でのぎりぎりの採決だったことから、マイナス金利導入はかなり苦渋の決断だったことも想像されます。

下記のようにヨーロッパの先例があり、しかもヨーロッパではうまくいっていないにも関わらず日銀がマイナス金利を発表した背景には、従来のやり方では日本経済が成り立たないという危機感があるように思われます。こんな状況こそ、ベンチャー起業は求められているのだとも言えます。

いち早くマイナス金利に踏み切ったヨーロッパとの比較

マイナス金利政策は、昨年EUの中央銀行(ECB)やスイス、デンマーク、スウェーデンではすでに導入されています。 その効果で、マイナス金利のデンマークでは住宅ローンの金利がマイナスになり、借りれば借りるほどお金が儲かって得をするという現象が起きているそうです。また、ATMの手数料を下げる動きもあるそうです。

とはいえ、EU全体を覆う深刻な不況の払拭には到っていません。つまり、マイナス金利政策が必ずしもプラスに働いていないのです。 スイスやドイツがマイナス金利であっても、国債の購入が絶えず、よって国債の暴落が起きない状態が続いているそうです。 例えばドイツにおいてはデリバティブへの不振などで市場の不振は募る一方です。

そう考えると、日銀がマイナス金利政策を導入したのは、ヨーロッパと同じような状態になる可能性も考慮しつつ、それでも他に打つ手がないから切羽詰まってのことだったのかもしれません。最悪うまくいかなくても、国債の暴落にはつながらないだろうという読みもあったとも考えられます。

まとめ

マイナス金利発言以降、日銀のもくろみとは違い、株価は急下落し、国債の長期金利がマイナスに転じたにも関わらず国債を買いたがる投資家が増えました。

原油価格の低迷やテロへの不安、中国経済の失墜など世界経済の先行きが不透明であることから、金利がマイナスであっても安定している国債を買った方がましだという考えのようです。

そんな時代だからこそ、競合が取り組まなかったり撤退しているビジネスチャンスは数多くあるとも言えます

1929年の世界大恐慌でも数多くの企業の経営が破綻し、自殺者も相次いだと言われています。そんな中、ベンチャー起業を立ち上げて成功した人もいました。それはリーマン・ショックでも同様でした。

ナポレオン・ヒルは「思考は現実化する」という著書の中で「失敗や逆境の中には、全てそれ相応かそれ以上の大きな利益の種子(たね)が含まれている」と述べています。

そう考えると、マイナス金利で多くの人が逆境だと思っている現在、お金を借りやすい状況は大きなビジネスチャンスと言えるかも知れませんね。ただし、会社を起業するには他の人が行っていないオリジナル性、または新しいモデルの開発・新たな市場の開発が必須です。

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