「会社を起業しよう!」そう思ったら、すぐに起業できるでしょうか?
もちろん起業しようという意思はとても大事ですが、それだけでは会社は起業できません。 特に許認可事業を起業する時は、警察署や保健所、その他の行政機関に対して許認可の申請をしなければなりません。
許認可というと少し難しく感じられるかもしれませんが、例えばラーメン屋を開店したいとしても、食品衛生法に基づいて飲食店営業許可を取得しなければなりません。
許認可はとても範囲が広く手続きも面倒ですので、起業のスペシャリストに相談することが成功の近道です!
目次
許認可事業とは?
こんなにある!許認可事業
起業するに当たって、許認可が必要な事業はとてもたくさんあります。その一例をあげますので、ご参照下さい。
業種 | 主な条件 | 関係法令 |
飲食店 | 食品衛生責任者1人以上、都道府県が定めた基準に合致した施設 | 食品衛生法 |
ホテル | 設備、設置場所、安全衛生管理 | 食品業法、旅館業法 |
医薬品販売 | 薬剤師等の有資格者が常勤 | 薬事法 |
中古品販売 | 古物鑑定士などの資格 | 古物営業法 |
人材派遣業 | 派遣元責任者講習 | 人材派遣法 |
建設業 | 経営業務の管理責任者(5年以上の経験)、専任技術者の設置 | 建設業法 |
金融商品販売 | 投資助言、代理業務、ファンド等に対する知識 | 金融商品取引法 |
運送業 | 過労運転防止等安全管理、運行計画など | 貨物事業者運送事業法 |
起業する時に必要な手続きは
起業する時に行政に対して行う手続きは、簡単なものから細かい条件があるものまで、業種によって様々です。
届出
一番簡単な手続きは「届出」です。行政官庁に対して届け出ることで、その効力が発生しますので、届出ですむ場合は特に問題なく起業できます。
登録
「登録」は届出より少し条件が厳しくなります。とはいえ、行政庁の帳簿に一定事項が記載されればよいため、起業へのハードルはそれほど高くありません。
許認可
届出や登録に対し、許認可は行政庁の同意が必要なものを指します。そのために行政からの審査があります。
免許
起業のハードルが最も高いものです。法令により細かい条件が定められていますし、試験が必要な場合もあります。
許認可事業を起業するときに有効な5つの相談相手
起業において許認可手続きをするときに、どのようにすればよいか迷うことでしょう。多くの人にとって起業は一生にそう何度も経験することではありませんし、失敗せずに一回で許認可を受けたいことでしょう。
許認可に一発でクリアするため、また時間を節約するために、ぜひスペシャリストを活用しましょう。
起業の許認可だけでなく、起業に必要な創業融資や会計、労務管理などの相談に乗ってくれる5分野のスペシャリストを徹底比較しましたので、あなたにぴったりの相談相手を発見して下さい。
行政書士
1つめのスペシャリストは、会社設立に必要な許認可の手続きを行うときに必須な士業である行政書士です。許認可の申請を行政に受理させるには、行政がその許認可を決定する基準を知っておかなければなりません。ですので、確実に許認可を得るためには行政書士が適しています!
さらには、行政書士の中には創業融資について詳しい人も多いのです。起業する時に、許認可の手続きのついでに創業融資について相談する起業者が多いからです。
税理士
2つめのスペシャリストは、税金に強い税理士です。起業するのであれば確実に納税する必要があるのですが、日本の税金に関する法律は複雑きわまりないです。また、経営者として税金のことばかり考えているわけにもいきません。そこで、税金に強い税理士を税務顧問として早めに確保しましょう。
社会保険労務士
労働保険・社会保険の専門家である社会保険労務士が3つめのスペシャリストです。許認可事業の中には、労務管理の知識があると有利な場合もあります。
公認会計士
4つめは会計監査業務のスペシャリスト、公認会計士です。公認会計士の中には企業へのコンサルティング業務を行っている人も多いので、起業に必要な知識が得られることも考えられます。
司法書士
5つめのスペシャリストとして、登記手続きを行う司法書士をとりあげます。なかでも、会社を設立するのに必要な商業登記の書類作成や手続きは、起業したい人は必ずお世話になるでしょう。
さて、これら5つのスペシャリストのうち、どの相談相手があなたにふさわしいでしょうか?それぞれのメリットとデメリットについて次からの章でまとめましたので、それを参考にお選び下さい。
行政書士のメリットとデメリット
行政書士のメリット
許認可のスペシャリスト
行政書士の主な役割には、起業に関わる重要な仕事があります。その一つが「許認可申請」です。許認可事業で会社を設立するには、監督官庁に対して適切な許認可の手続きが必要ですが、どの行政機関に対してどのような申請をするか、そして複雑な許可申請書を適切に作成するには行政書士の存在が欠かせないのです。
なんと許認可の種類は1万を超えるそうですので、それを自分で調べていては大変ですね。ですので、行政書士の力を借りる事になります。
行政書士が相談相手として有効な理由
そして、行政書士から許認可の時に「創業融資」の仕方をすすめる場合もあります。許認可の申請も創業融資も、共に起業に伴う最重要課題ですので、許認可にあわせて創業融資の支援を行う行政書士も多いのです。
起業を考えている人の中には、手続きに追われて、創業に必要な資金の確保がうまくいっていない場合があります。起業当時は自己資金でなんとかなると思っていても、いざ起業となると想定外のお金が必要になることはよくあることです。
行政書士からは日本政策金融公庫から確実に創業融資を得るためのノウハウをていねいに教えてくれる人も多いですので、気軽に問い合わせてみると良いでしょう。
行政書士のデメリット
ただし、行政書士であれば誰でも創業融資の支援を行ってくれるわけではありません。行政書士の基本業務の中に創業融資支援があるわけではないからです。また、税務相談や労務関係のスペシャリストではないので、その点では物足りなさを感じるかもしれません。
税理士のメリットとデメリット
税理士のメリット
税金のスペシャリスト
税理士は税金のスペシャリストであり、税務顧問として企業にとっては重要な存在です。
起業するからには税金の支払いと無関係ではいられません。また、会計処理の代行や節税のアドバイス、申告書の作成、さらには税務調査への対策なども行います。 そのため、お金の出入りに関しては税理士はとても詳しいですし、創業融資や回転資金など、資金繰りに関しては税理士に相談することがとても有効です。
税理士のデメリット
このように会計や税金関係に強い税理士ですが、税理士を創業の相談相手にする場合には注意も必要です。それは、「税理士は実は財務をほとんど知らない」という実態があるからです。どういうことかご説明しましょう。
実は、会計には「財務会計」と「税務会計」があります。税理士が詳しいのは、「税務会計」の方です。一方で、「財務会計」は公認会計士の方が詳しいです。財務は経営全体の話ですので、経営者としてはより興味がありますよね。その財務についてあまり詳しくない税理士に創業融資の相談をする時には、その税理士が財務に詳しいかどうかよく確認するべきでしょう。
社会保険労務士のメリットとデメリット
社会保険労務士のメリット
労務管理のスペシャリスト
会社を創業する場合、全てを一人で行うことは困難です。家族や親戚以外の助けを得るためには、従業員を雇用する必要があります。そして、一人でも従業員を雇用するのであれば、労務管理の必要が発生します。そのスペシャリストが社会保険労務士です。
従業員を雇用するに当たって必要な経費
従業員を雇用するということは、ただ給料を出せばよいという単純な話ではありません。労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険など、加入が義務づけられている社会保険があります。例えば、アルバイト1人を雇用する場合であっても、労災保険へのは加入は強制です。
創業融資を考える際に、施設や機械、原料費などばかり考えて、大事な人件費を軽視してはいけませんし、給料以外に発生する様々な経費も計算に入れるべきです。ですので、労務管理のスペシャリストである社会保険労務士に相談するメリットがあるのです。
社会保険労務士のデメリット
社会保険労務士は確かに労務管理においては右に出る者がいませんが、起業した後の順番としては、社会保険関係の手続きは比較的あとの方です。許認可に関わる行政書士や税務顧問の税理士の後に相談することが多いため、創業融資についてはあまり詳しくないことも考えられます。
公認会計士のメリットとデメリット
公認会計士のメリット
税理士との違い
公認会計士と税理士とはどう違うのか、混同されやすいです。起業して経営者になるのであれば、両者の違いをはっきり知っておく必要があります。税理士はすでに述べたとおり税金に関するスペシャリストです。それに対し、公認会計士は企業の財務諸表を第三者の立場から監査するという役割があります。
現在、企業のコーポレートガバナンス、つまり企業による不正防止や企業価値の向上が厳しく問われるようになっています。ですので、企業が不正会計などを行ってしまうと、一気にイメージダウンしてしまいます。経営者として正しい財務諸表を作成すると共に、監査にひっかからないようにすべきです。公認会計士はその監査のスペシャリストなのです。
起業で上場を目指すなら公認会計士に相談
監査は、監査する対象の企業が投資家からの信頼を確保するために行われることが多いです。ですので、あなたが起業する会社が上場を前提としているのであれば、公認会計士が相談相手としてふさわしいと考えられます。
公認会計士のデメリット
株式評価や会計の監査などに強い公認会計士ですが、真剣に上場を早い段階で目指す、または一気に企業規模を拡大できる公算があるのでない限りは、創業融資の相談は公認会計士よりも他の行政書士などにした方が良いです。それよりも、起業してからしばらくたって、さらに業務を拡大したいときに相談する方が良いです。
司法書士のメリットとデメリット
司法書士のメリット
登記を依頼できる
司法書士は、登記を代理できる唯一の資格です。ですので、自分で登記をするのが面倒である場合は、司法書士に登記を依頼することになります。もし司法書士以外が登記の代行を仕事として行った場合は、処罰の対象になります。
登記の手続き
登記とは、創業をするときに作成する定款と呼ばれる書類を法務局に提出することです。この手続きは創業者自身が行うこともできます。法務局に出向いても良いですし、オンラインでも手続きできます。でも、法人用印鑑の作成が必要だったり、ただでさえ忙しい創業時にできるだけ手間を省きたいときには司法書士に依頼する方が良いでしょう。その時に創業融資の相談に乗ってもらえる可能性もあります。
司法書士のデメリット
司法書士は登記に関してスペシャリストとではありますが、創業融資について詳しいとは限りませんし、税務問題についても詳しくありません。会社設立をある程度任せきることはできますが、どちらかというと不動産登記や裁判関連の書類作成を主な業務としている司法書士も多いので、創業融資についてどの程度知っているかの確認はしておきましょう。
まずは相談してみることが大事
5つの異なる分野のスペシャリストを取り上げました。いずれがより創業融資の相談にのってくれるかは、あなたが創業したい許認可事業がなんであるかによって異なります。また、財務に力を入れたいのか、税務問題に不安があるのか、などあなたのニーズによっても違います。
また、同じ士業であっても、得意分野が違う場合もあります。まずは相談してみて、創業融資をした経験があるかどうか、などを問い合わせてみると良いでしょう。信頼できるパートナーであれば、創業後も力になり続けてくれるはずです。