決算対策8つのテクニック!節税できる&銀行から融資を受けられる決算書の作り方

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一般的に会社にとって利益が増えることは、望ましい結果とされています。しかし、利益が増えるとその分法人税などの支払いも増えるので、特に資金繰りに悩んでいる中小企業は、現金不足に悩まされやすい傾向にあります。

そこで考えておきたいのが、法人の決算対策です。決算対策とは、決算の方法を工夫することによって、費用を節約する対策を指します。多くの企業にとって、この決算対策は重要な意味合いを持つでしょう。

そこで今回は、決算対策のテクニックに加えて、融資を受けやすい決算書にするテクニックをご紹介していきます。今回ご紹介するテクニックを学ぶだけで、会社の資金繰りが改善される可能性があるので、積極的に読み進めていきましょう。

■決算対策の8つのテクニック!

法人税などの支払いを可能な限り節約するためには、会社のさまざまなお金に目を向けることが必要です。多くのポイントを意識する必要があるので、以下でひとつひとつ具体的に確認していきましょう。

 

【その1】売上を意識して会計年度を変更する

多くの会社は、1年の中で時期によって売上が異なります。売上のピーク時は、役員も従業員も事業に専念するべきであるため、売上のピークと決算時期をかぶらせるべきではありません。この2つの時期をズラすことで、決算対策をする余裕が生まれます。

そのため、売上を意識した会計年度になっていない場合は、売上のピーク時期を会計年度に変更してみましょう。そうすることで、事業で忙しくなる前の時期までに、ゆっくりと決算対策を進められます。

会社の会計年度は、株主総会を開いて株主総会議事録を作成し、税務署に届出を提出することで変更できます。

 

【その2】サービスの対価を徹底的に年度内に計上する

サービスの対価とは、会社が受けるサービスに対して支払う費用のことを指します。具体的な対価としては、以下のものが挙げられるでしょう。

 

・事務所のレンタル料

・水道代や光熱費

・通信費

・従業員への給与

 

これらの費用の中には、従業員への給与のようにサービスを受けた時期から遅れて支払われるものがあります。そのような費用を総称して「未払費用」と言いますが、この未払費用は年度内の損金として算出するべきものです。この部分が徹底されていない場合は、余計な税金を支払っている可能性があるでしょう。

なお、逆にサービスを受ける時期より前に費用が発生し、毎年その費用が必要になる場合は、「短期前払費用」として年度内の損金に含められる可能性があります。こちらの費用に関しても、年度内分の損金としてきちんと扱い、可能な限り節税を行いましょう。

ただし、月ごとに金額が大きく異なる費用については、短期前払費用としては扱われないので注意が必要です。

 

【その3】損失を計上できる固定資産、商品がないか調べる

あなたの会社に固定資産がある場合は、その固定資産を損失として計上できる可能性があります。また、売れ残った商品に関しても、損失として計上できるものを探してみましょう。

固定資産や商品を損失として計上する場合は、以下の3つに分類をします。

 

〇売却損

売却損とは、購入や仕入れにかかった費用、もしくは現在の価値よりも安い価格でモノを売却した際に生じる、差額分の損失を指します。固定資産は帳簿価格よりも安い価格、商品は原価よりも安い価格で売却した場合に、この売却損として計上できます。

固定資産に関しては、固定資産税などのランニングコストがかかるので、不要な固定資産を持ち続けることは損です。また、商品に関しても同じであり、在庫を管理するにはコストがかかります

そのため、不要な固定資産や商品があった場合は、積極的に売却をして売却損として計上してみましょう。

 

〇除却損・廃棄損

不要な固定資産や商品については、廃棄をすることで除却損・廃棄損として計上できます。ただし、後に税務調査が実施される可能性もあるので、廃棄した場合はその証拠を残しておくようにしましょう。

なお、固定資産台帳に記載されており、現在ではすでに廃棄している固定資産についても、除却損として計上することが可能です。

 

〇評価損

災害などで固定資産の価値を低く見積もる必要性が生じた場合、もしくは在庫の資産価値が大きく変更された場合には、その固定資産や商品を評価損として計上できます。ただし、商品に関しては著しい陳腐化など、厳格な条件が定められています。

 

【その4】損失として計上できる不良債権がないか調べる

あなたの会社に不良債権は存在していませんか?不良債権とは、取引先の倒産で回収不可能になった売掛金など、すでに回収できない債権のことを指します。この不良債権も条件を満たすことで、貸倒損失として年度内の損失として計上できます。

ただし、不良債権の損失計上には、厳格な条件が定められています。条件を満たせる場合には、積極的に損失として計上しましょう。

 

中小企業会計指針:【各論】貸倒損失・貸倒引当金(17・18)

 

【その5】設備投資や修繕を前倒しする

数ヶ月後などの近い将来に、確実に予定している設備投資や修繕はありませんか?そのような設備投資などを予定している場合は、その予定を前倒しして年度内に行うことで、年度内の損金として計上できる可能性があります。

ただし、この方法に関しては無理をして前倒しするべきではありません。例えば、設備投資を大きく前倒しした結果、その設備が不必要になってしまった場合、会社には無駄なコストが生じます。

無駄なコストは経営悪化の要因となるので、確実に必要な設備投資・修繕に絞って、予定を前倒しできないか検討してみましょう。

 

【その6】減価償却資産の購入を前倒しにする

減価償却資産とは、その資産を使用して事業を進める場合に、利益が生じるにつれて価値が下がっていく資産のことを指します。具体的な減価償却資産としては、以下のものが挙げられるでしょう。

 

・建築物

・船や自動車などの乗り物

・製品をつくる機械

・器具や工具

 

この減価償却資産の損金計上は、通常複数年に分けて行われます。ただし、資本金が1億円以下であり、青色申告を行っている企業に関しては、以下のような特例が認められています。

 

・30万円未満の減価償却資産を少額減価償却資産として扱う

・少額減価償却資産の購入金額のうち、300万円までをその年度内の損金として扱える

 

この特例を上手に活用すれば、年度内の税金を抑えられるでしょう。ただし、少額減価償却資産として扱いたいからと言って、無駄にモノを購入する行動は望ましくありません。

 

【その7】従業員に決算賞与を支給する

以下の2つの条件を満たしている場合、従業員に支払った決算賞与も損金として扱われます。

 

・従業員全員に対して、決算期末までに支給金額を通知していること

・決算期末から1ヶ月以内に、決算賞与を支給していること

 

この決算賞与の損金計上は、例えば例年以上に利益が生じた場合などに活用できます。従業員のモチベーションを高めたり、会社の信用性を高めたりする効果も期待できるので、一時的に売上が伸びた会社は積極的に検討してみましょう。

 

【その8】従業員に社員旅行を提供する

社員旅行にかかる費用は、福利厚生費として損金に計上できます。ただし、そのためには以下の条件を満たさなくてはなりません。

 

・全従業員の半数以上が参加していること

・旅行期間が4泊5日以内であること

 

こちらの方法も、上手に活用すれば従業員のモチベーションを高められます。ただし、無理をして旅行を計画すると、逆に会社の経営を圧迫しかねないため注意しておきましょう。

なお、社員旅行の写真や資料などはきちんと残し、税務調査に備えることも大切なポイントです。

 

■融資を受けやすい決算書にする6つのテクニック

決算書の作成方法によって、融資の受けやすさが変わることをご存じでしょうか?金融機関は申請者の返済能力を重視して審査を実施しますが、法人が融資を希望した場合には、決算書から返済能力が判断されるためです。

そこで次からは、融資を受けやすい決算書にするテクニックについてご紹介していきましょう。資金繰りに悩んでいる中小企業にとっては、重要なテクニックになるはずです。

 

【その1】自己資本比率を上げる

自己資本比率とは、会社の資金力を示す数値です。会社の自己資本比率は、以下の式によって算出できます。

 

自己資本比率=自己資本÷総資本×100

 

上記の総資本は、自己資本と他人資本を合計した資本額のことです。この自己資本比率が40%を超えると、その会社は倒産しないと言われており、自己資本比率は融資の際に審査基準としても用いられています。金融機関から融資を受けたい場合、少なくともこの自己資本比率を30%以上にする必要があるでしょう。

自己資本比率は、資産や負債の合計額を減らしたり、純資産額を増やしたりすることで高められます。具体的には、自己資本比率を高めるために以下の対策が取られるケースが見られます。

 

・不要な固定資産や在庫を処分する

・売掛金や不良債権を処理する

・不要な投資がある場合は現金化する

・増資によって資本金を増やす

 

なお、買掛金や支払手形といった仕入債務を減らす方法でも、自己資本比率は高められます。ただし、この方法は会社の資金繰りが悪化しやすいので、細心の注意を払うようにしましょう。

 

【その2】現金預金を期末に確保しておく

期末に確保しておいた現金預金は、金融機関からの融資審査において評価される可能性があります。現金預金を期末に確保できるということは、資産的にある程度の余裕があることを意味するためです。

したがって、期末には可能な限り現金預金を確保しておきましょう。ただし、会社の経営状況に対して、あまりにも大きい額の現金預金を確保していると、「この会社は怪しい」と判断されかねません。

会社の経営状況から、不自然と思われない現金預金の金額を慎重に判断することが大切です。

 

【その3】迂回融資に注意をする

社長が経営する他会社への貸付金を精算する方法も、年度内の自己資本比率を高める手段として考えられるでしょう。ただし、この方法は金融機関から迂回融資と判断されて、来期の融資が絶望的になる恐れがあるので注意が必要です。

迂回融資とは、金融機関から融資を受けた資金を、別のところへまた貸しする行動を指します。基本的に金融機関は迂回融資を嫌うので、たとえ迂回融資をする意志がなかったとしても、同様の行動を取っていると信用力が低下します。

その点に注意しながら、慎重に対策を練るようにしましょう。

 

【その4】ノンバンク等からの借入を一括返済して、借入金をキレイにする

ノンバンク等からの借入は、自己資本比率に影響を与えます。そのため、借入がある場合には可能な限り返済をして、借入金をスッキリさせましょう。

そうすることで自己資本比率が高まり、融資を受けられる可能性が高まります。一時的に資金繰りが苦しくなるかもしれませんが、将来的に融資を受けられるのであれば、多少は無理をするべきでしょう。

 

【その5】営業利益や経常利益が赤字の場合は、黒字へのシナリオを明確にする

決算書を作成した結果、営業利益や経常利益が赤字の場合もあるでしょう。銀行などの金融機関は、基本的に赤字企業への融資を敬遠しますが、黒字化へのシナリオをきちんと説明できれば、融資を受けられる可能性があります。

そのためには、経営悪化の理由が一過性のものであることを説明しなければなりません。今後どのような対策を行うのか、どの時期に経営が回復するのかなどを意識した上で、決算書などの提出資料を作成することが大切です。

 

■中小企業が決算で注意しておきたいポイント

決算書を作成する際には、いくつかの注意点があります。決算には税務署も関係してくるので、決められたルールに則り正しい方法で計上をしなくてはなりません。

そこで以下では、特に中小企業が注意するべきポイントをご紹介していきます。

 

【その1】役員の決算賞与の扱いに注意

役員と従業員の決算賞与は、損金計上のルールが異なります。役員への決算賞与を損金計上したい場合、支給時期と賞与額を会計年度の4ヶ月目までに税務署に申告しなければなりません。当然、実際に支給をしていることが前提となります。

したがって、決算対策として役員への決算賞与は適していないと言えます。この違いを正しく理解し、役員の決算賞与によって決算対策を行わないようにしましょう。

 

【その2】接待の目的

飲食代などの接待費は、中小企業であれば通常800万円までを損金として計上できます。ただし、接待は必ずしも売上につながるとは限らないので、800万円計上できるからと言って、積極的に接待を行うべきではありません。

つまり、決算対策のみを目的として接待を行うと、逆に会社の経営を圧迫してしまう恐れがあるのです。接待費が生じる際には、「会社にとって本当に必要な接待なのか?」「接待費に見合ったメリットがあるのか?」などを慎重に判断するようにしましょう。

 

【その3】減価滅却資産の金額

減価償却資産として高級な資産を購入する方法も、会社の経営を圧迫しかねない決算対策です。例えば、高級なマンションを購入しても、そのすべての費用を損金に計上できるわけではありませんし、購入には多額の資産が必要となります。

したがって、減価償却資産を購入する場合には、その金額に細心の注意を払うことが大切です。「会社にとって必要な資産かどうか」「具体的にいくらの節税になるのか」を意識しながら、慎重に購入を検討しましょう。

 

【その4】保険料の負担

法人向けの保険に加入する方法も、決算対策としてはよく挙げられています。ただし、保険料は毎月発生するコストなので、不要な保険に加入することは決算対策として適していません。特に高額な保険料の保険に加入すると、会社の経営が傾いてしまう恐れもあるでしょう。

そのため、会社にとって必要な保険以外は、決算対策として利用しないことが大切になります。

 

■まとめ

今回は決算対策のテクニックや、融資の審査対策などについてご紹介してきました。いかがでしたか?

決算書は会社にとって重要なものであり、事前の準備によって内容が大きく変わってきます。融資や節税を目指している方は、今回ご紹介したポイントをしっかりと押さえておきましょう。

 

なお、会社に現金が不足している場合には、ファクタリングによる資金調達が効果的です。ファクタリングは売掛金を売却することで資金を得る手段であり、融資とは異なるメリットを持っています。

ファクタリングについて知りたい方は、資金調達プロのホームページへアクセスしてみましょう。

 

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