約束手形を受け取ったらどうすればいい?5つの行動とメリット・デメリット

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商品やサービスを販売する際などに、支払いで現金の代わりに渡される約束手形。約束手形は現金化できる有価証券ですが、受け取った場合は正しい手順を踏まないと、最悪の場合現金化する機会を失ってしまいます

また、受取人(手形を受け取る者)は必ずしも約束手形による取引を承諾する必要があるわけではありません。約束手形にもメリット・デメリットがあるので、その特徴を正しく理解した上で、受取人になるかどうか慎重に判断することが大切です。

以下では、まずは約束手形を受け取った時に取るべき行動についてご紹介していきましょう。

■【行動その1】記載内容を確認する

約束手形を受け取ったら、まずは手形の記載内容を確認します。記載内容は取引内容を示すので、もし内容に間違いが見つかった場合は、振出人(手形を発行した者)に差し替えてもらう必要があります。

では、具体的にどのような内容を確認するべきなのでしょうか?

 

〇手形なのか小切手なのかをチェックする

約束手形と似た有価証券のひとつに、小切手があります。両方とも現金化できるという点に違いはありませんが、異なる特徴を持った有価証券となるので混同してはいけません

約束手形と小切手の大きな違いは、「支払期日」です。約束手形の支払期日は、振出人と受取人の合意により決められますが、小切手に関しては振出日の翌日から10日間と定められているので注意しておきましょう。

 

〇支払期日

約束手形の換金時期は、支払期日を含む3営業日以内となります。その点を意識した上で、当初に合意した内容と支払期日が同じ時期であるか、必ず確認するようにしましょう。

 

〇金額

金額も必ずチェックしておくべきポイントです。当然ですが、約束手形に記載されている以上の金額を現金化することはできません。

合意内容と比べて増減がないか、桁数が間違ってないかなどを入念にチェックしましょう。

 

〇社名や代表者の氏名

社名や代表者の氏名が間違っていると、約束手形の効力が薄れてしまう恐れがあります。自社の社名はもちろん、振出人の社名や氏名についても、間違いがないか必ず確認しておきましょう。

 

〇押印

約束手形に効力を持たせるには、押印が必要不可欠です。押印忘れは比較的多く見られるミスなので、押印されているかどうか、振出人の押印に間違いがないかなどを確認しましょう。

 

■【行動その2】コピーを取る

記載内容を確認したら、その約束手形のコピーを取ります。銀行などに約束手形を取立に出すと、約束手形は手元からなくなってしまうので、必ずコピーは取っておきましょう。

この際に取ったコピーは、後で領収書と照合をするために使用します。内容を確認するためのコピーなので、白黒の印刷でも問題ありません。

 

■【行動その3】約束手形の扱い方を決める

一般的に、約束手形は支払期日まで待ち、支払期日が到来した時点で現金化を行います。しかし、それ以外にも約束手形を現金化する方法はあるので、事前に確認しておきましょう。

 

〇手形割引

手形割引とは、受け取った約束手形の受取権利を第三者へ渡す代わりに、現金を受け取る手段のことです。支払期日の前に約束手形を現金化することができますが、「割引料」と呼ばれる手数料が発生するので注意が必要です。

なお、手形の受取権利を譲渡する第三者としては、銀行や手形割引業者が挙げられます。相手方によって手形割引の条件は異なるので、割引料や融資までのスピードなどを比較しながら、希望条件に合った相手方を見つけることが大切です。

 

〇手形貸付

受け取った約束手形を担保にして、融資を受ける手段です。融資元としては主に銀行が選ばれており、手形貸付は申し込みが比較的容易なことから、短期資金を用意する手段として利用されています。

 

会社を経営していると、仕入れと入金の時期にズレが生じたり、急な経費が発生したりするなど、現金不足に悩まされるケースは少なくありません。手形割引や手形貸付は、そのような場合に資金を調達できる手段となります。

 

■【行動その4】取引銀行へ持ち込む

以下からは、手形割引・手形貸付を利用しないケースについて解説していきます。支払期日に約束手形を現金化しない場合は、自社の取引銀行へ約束手形を持ち込みましょう

銀行へ「取立の依頼がしたい」旨を伝えれば、裏書欄の記載方法を教えてもらえます。必要な情報を裏書欄に記載し、押印をすれば取立は完了です。

なお、取立を依頼する際には、以下のものを忘れないようにしましょう。

 

・社名住所代表者名の入ったゴム印

・銀行届け出印

 

■【行動その5】取立が完了したら内容を確認する

支払期日が到来すると、約束手形の取立が行われます。取立が完了したら、必ず「手形の内容と同額の現金が振り込まれているか」を確認しましょう。

内容に問題がなければ、約束手形による取引は完了です。

 

このように、約束手形を受け取った場合には、取引に問題が生じないよう正しい手順で行動を起こすことが大切です。特に、記載内容に間違いがあると大きなトラブルに発展しかねないので、記載内容は細かく確認するようにしましょう。

次からは、約束手形のメリット・デメリットについて解説していきます。

 

■約束手形の受取人のメリット

【メリットその1】支払いの確実性が高まる

約束手形による資金回収は、口約束に比べると支払いの確実性が高まります。振出人が支払いに応じなかった(不渡りと呼ばれる)場合、振出人には深刻なリスクが生じるためです。

手形の振出人は半年間に2回不渡りの状態になると、以後2年間は銀行取引が停止されます。当座預金口座は凍結されますし、当然新規の貸付も利用することはできません。

それに加えて、信用情報センターや全国の各地手形交換所、金融機関などに不渡りの情報が共有されます。つまり、振出人は不渡りの状態を繰り返すと、倒産する可能性が一気に高まるのです。

したがって、約束手形は確実性が比較的高い手段と認識されており、現代では多くの取引で利用されています。取引先から「支払いを遅らせたい」と相談された場合は、約束手形の発行をお願いするようにしましょう。

 

【メリットその2】資金の調達手段になる

上記でもご紹介しましたが、約束手形の受取人になると、手形割引や手形貸付によって、好きな時期に資金を調達できる可能性があります。例えば、手形の振出人と取引をした時期には資金に困っていなくても、急なトラブルによりその数週間後に資金不足に悩まされるかもしれません。約束手形を受け取っていると、そのような場合に短期間で資金を調達することができます。

ただし、手形割引や手形貸付には審査があり、必ずしも資金を調達できるわけではありません。支払期日前に現金化する場合は、会社の信用性が重要なポイントとなってくるので、普段から信用情報にキズがつかないように注意することが大切です。

 

【メリットその3】振出人に対して優位な立場を築ける

約束手形を受け取った事実は、「振出人の支払いを猶予した」ことを意味します。そのため、振出人は受取人に対して負い目を感じやすく、受取人は優位な立場を築きやすいと言えます。

ビジネスの世界で築いた優位な立場は、主に交渉の際に役立ちます。優位な立場を築いたことで、「前回の交渉で、本当はもう少し良い条件を提示したかった」といった場合に、次回の交渉からはより良い条件を提示できるかもしれません。

 

【メリットその4】資金に余裕があることをアピールできる

約束手形の受取人になると、振出人に対して資金にある程度の余裕があることをアピールできます。もちろん、ほかの会社に対してそのことが伝わる可能性も考えられるでしょう。

ビジネスチャンスは資金の多い会社に集まりやすいので、約束手形の受取人になることで、新たなビジネスチャンスをつかめるかもしれません。

 

■約束手形の受取人のデメリット

【デメリットその1】資金を回収できない恐れがある

約束手形が不渡りの状態になると、受取人は資金を回収できない恐れがあります。不渡りの状態は、「振出人に支払い能力がない」ことを意味するので、その部分が改善されない限り資金は回収できません。

万一不渡りの状態になった場合は、すぐに振出人に連絡を入れて、資金の回収を直接交渉する必要があります。

 

【デメリットその2】換金時期を過ぎると現金化できない恐れがある

上記でもご紹介しましたが、約束手形の換金時期は支払期日を含む3営業日です。この換金時期を過ぎると、銀行で約束手形を現金化することはできなくなり、振出人に直接交渉をするほか手段がなくなってしまいます。

換金時期を過ぎても手形の効力は持続しますが、そうなると仮に振出人が支払いを拒否したとしても、不渡りの状態にはなりません。資金回収が大きく遅れてしまう上に、最悪のケースでは資金回収自体が不可能となるので、換金時期には細心の注意を払いましょう。

そのようなケースを想定して、支払期日の前に銀行などに約束手形を預けておくと安心です。

 

このように、約束手形にはメリットがある反面でデメリットも存在します。上記のデメリットが資金繰り悪化の一因となる恐れもあるので、安易に約束手形による取引に応じないことが大切です。

約束手形の記載内容を確認するのはもちろん、振出人の信用力資金力についても、事前に調べておくことが望ましいでしょう。

 

■まとめ

今回は約束手形に関する概要をご紹介してきました。いかがでしたでしょうか?

現代では資金繰りに苦しむ企業が多く見られるので、約束手形による取引は珍しくありません。特にあなたの会社が中小企業である場合は、振出人・受取人のどちらにもなる可能性が高いので、約束手形について深く理解しておくべきでしょう。今回ご紹介した内容を参考に、約束手形の特徴や扱い方をしっかりと学んでおくことが大切です。

 

なお、もしあなたが資金繰りに悩んでいる場合は、売掛金を売却することで資金を用意できる「ファクタリング」も検討してみましょう。安定的な売掛金がある場合は、短期間で多くの資金を用意できる可能性があります。

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