現代の日本では多くの企業が、銀行からの融資を受けることで経営資金をねん出しています。しかし、銀行は返済目途が立たない企業には基本的に融資をしないので、審査に落ちてしまう企業も少なくありません。銀行から融資を受けるには、審査に通るコツを押さえた上で、入念に準備を進める必要があります。
そこで今回は、1,000万円の銀行借入を成功させる10のコツをご紹介していきましょう。
目次
■【その1】金融機関の特徴をつかむ
国内に存在する銀行は規模や経営主体などによって、複数の種類に分けることができます。銀行は種類ごとに異なる特徴を持つので、審査の傾向も当然種類によって異なります。そのため、利用する銀行がどの種類に該当するのかを把握し、必要な準備を見極めることが大切になるでしょう。
では、具体的にどのような銀行があるのかについて、以下で詳しくご紹介していきます。
〇メガバンク・上位地方銀行
豊富な資金を持つメガバンクや上位地方銀行は、一般的に審査の傾向が厳しいとされています。各銀行員が高い書類検証能力を備えているので、質の高い事業計画書などを作成しなければなりません。
また、面接においては聞かれた質問に対して、論理的に説明をすることが重要になります。細かい部分まで質問される可能性が高いので、作成した資料を何度も読み返し、質問される内容を想定して適切な答えを用意しておく必要があるでしょう。
〇地方銀行・信用金庫・信用組合
それ以外の地方銀行や信用金庫、信用組合などは、地域性が強い傾向にあります。そのため、支店長など支店担当者と良好な関係を築いておくと、会社や経営者の評価が高まり、審査に通りやすくなるとされています。
また、必要書類に加えて補足資料を加えることで、格段に評価が上がりやすくなる点も、これらの金融機関の傾向です。積立などの金融商品を利用することで評価につながる可能性もあるので、良好な関係を築けるようにうまく付き合っていきましょう。
〇政府系の銀行
政府系の銀行は、会社や経営者の将来性を重視する傾向にあります。そのため、現時点では資金が少ない会社でも、質の高い事業計画や資金計画を提出することで、融資を受けられるチャンスがあるでしょう。
審査においては、面接よりも書類が重視される傾向にあるので、必要な情報は全て書類を見れば分かるように準備しておくことが大切です。
■【その2】借入額・使途を明確にする
銀行は基本的に、必要分の資金しか融資しないスタンスです。例えば、資金使途に不必要な費用が含まれていると、「経営能力がない」と低い評価を受けてしまう恐れがあります。
したがって、借入金や資金使途は必ず明確にし、不必要な費用は含めないようにしましょう。「なぜ資金が必要になるのか」という部分からは、会社の経営状態や問題点が予測できるので、審査担当者も資金使途は特に重視する傾向にあります。安易に「少し多めに資金が欲しい」などと考えると、会社や経営者個人の信用を落としかねないので、提出資料には欲を反映させないことが大切です。
なお、借入金と資金使途を記述する際には、「なぜこの金額になるのか」「なぜこの資金が必要になるのか」という理由も合わせて考えておくと効果的でしょう。
■【その3】書類に必要な情報をすべて記述する
銀行融資では面接が実施されることもありますが、口頭で伝えた情報は審査担当者の印象に残らない限り、銀行の本部に共有されることはありません。融資の可否を判断するのは担当者個人ではないので、伝える必要がある情報については、しっかりと共有されるように書類に記載するべきです。
では、具体的にどのような書類を準備しておくべきなのでしょうか?主な必要書類としては、以下のものが挙げられます。
・会社の決算書
・資金繰り表
・当初と現在の事業計画書
・事業計画が予定通りに進まなかった要因をまとめた書類
・融資の借入金や資金使途、希望理由などをまとめた書類
・融資による経営の変化や、返済できる根拠を示した書類
・返済時のシミュレーションをまとめた書類
上記の書類を用意する際には、根拠性を重視することが大切です。多くの数値を記載しても、各数値に根拠がなければ審査担当者は納得しません。根拠のある書類を作成すれば、「融資を受けても返済できる」という部分をアピールできます。
そのため、ただ単に経営者の推測を記載するのではなく、信用性のある統計などを活用して、数値に根拠を持たせることを意識しましょう。
■【その4】返済財源を確保する
銀行は融資をする際に、「滞りなく返済できること」を何よりも重視します。そのため、返済に充てられる会社の資金、つまり返済財源を確保しておくことが重要になるでしょう。
事業計画の質が高ければ、将来的な会社の売上予測が返済財源として評価される可能性もあります。しかし、事業の見通しが明確ではない場合、ほかの返済財源も用意しておかなくてはなりません。
返済財源として認められる可能性があるものとしては、担保や保証人などが挙げられます。仮に事業計画が予想通り進まなかったとしても、これらの返済財源が存在するのであれば、銀行をある程度安心させられるはずです。
また、ほかの資金調達法を確保しておく方法も効果的でしょう。例えば、売掛金を売却することで資金をねん出できる「ファクタリング」を活用すれば、仮に銀行融資に落ちてしまっても、短期間で必要資金を用意できる可能性があります。
資金調達法を探している方は、資金調達プロのホームページへアクセスして、まずはファクタリングの無料診断を受けてみましょう。
ファクタリングで10秒カンタン資金繰り改善!売掛金買取・売却・事業資金の資金調達プロ
■【その5】担保・保証人を用意する
上記では、担保や保証人が返済財源になり得ることをご紹介しましたが、担保や保証人は適当に選ぶべきではありません。そもそも、返済財源としての価値がなければ話になりませんし、事業に関連する資産を担保にすると、事業を続けられなくなってしまう恐れがあるためです。
また、中には第三者に提供された資産を、担保にする経営者も見られます。しかし、特にメガバンクや上位地方銀行などでは第三者の担保は評価されにくく、経営者個人の資産を重視する傾向にあるので注意が必要です。
担保や保証人に関しては、主に以下のポイントを押さえて用意するようにしましょう。
・基本的には第三者の資産に依存しない
・不動産など、会社に関連する資産は担保にしない
・価値や信用力ができるだけ高い資産や個人を選ぶ
なお、近年では担保や保証人をあまり重視しない銀行も多く見られます。そのような銀行は、返済財源より会社の将来性を重視する傾向にあるので、担保・保証人には基本的に頼り過ぎないことが大切です。
■【その6】銀行から評価されるのを待つ
銀行は貸し倒れのリスクを抑えるため、経営がスムーズな会社に対しては積極的に融資を行います。逆に経営不振に陥っており、「何とかお金を融資して欲しい」といった姿勢の経営者に対しては、リスクを考えて貸し渋る可能性もあるでしょう。
したがって、理想を言えば銀行に自ら出向くのではなく、銀行から「融資をさせて欲しい」と声をかけてもらうことが望ましいです。銀行側が融資を望んでいれば、必要書類の準備などにそれほど時間をかける必要もありません。
銀行側から声をかけてもらうには、まず自社の存在を知ってもらう必要があるでしょう。そのためには、積立を利用することで銀行と良好な関係を築いたり、第三者に銀行を紹介してもらったりする方法が効果的と言えます。
例えば、知り合いに経営者や会計士、税理士などがいる場合には、その知り合いに相談を持ちかけることで、銀行を紹介してもらえるかもしれません。銀行から評価される状況を作っておけば、仮に自分から融資を望んだ場合でも、ある程度有利に審査を進められるはずです。
■【その7】税金は滞納せずにきちんと支払う
銀行は基本的に、税金関係を滞納している経営者に対しては融資を行いません。法人税や社会保険料のほかに、公共料金やローンの滞納も審査に影響する恐れがあるので、日頃から注意しておきましょう。
税金関係や公共料金などを滞納する可能性がある場合には、融資以外の方法で一時的に資金をねん出してでも、きちんと支払うべきです。税金などの支払いが滞っていない点は前提条件とされるケースも多いので、支払いに困ったら前述でご紹介したファクタリングやノンバンク等を活用することも検討しましょう。
■【その8】銀行に資産状況を明らかにする
「資産状況を知られると不利になってしまう…」と不安になっている経営者はいませんか?確かに、資産状況の悪化は評価につながりますが、資産状況を隠す行為によって信用を落とすほうが、融資の審査では大きなダメージとなります。逆に、資産状況が良好でなくても常に明らかにしておくことで、銀行からの信用性が高まるかもしれません。
そのため、試算表を毎月銀行に提出するなど、会社の資産状況を銀行に伝える努力をしましょう。会社の評価を高めることも重要ですが、融資を受けるにはまず銀行から信用されることが必要不可欠です。
また、面接の際には潔く経営不振の責任を認めましょう。どのような理由でも、経営不振に陥った責任は経営者自身にもあります。その点を意識することで、審査担当者に真摯な姿勢が伝わるかもしれません。
■【その9】政府系金融機関や助成金を検討してみる
上記の方法を試した結果、「どうしても銀行から借入できない…」という場合には、政府系金融機関の利用を検討してみましょう。日本政策金融公庫(日本公庫)などの政府系金融機関は、事業者への融資・出資に積極的な姿勢を見せており、会社によっては銀行より融資を受けやすい可能性があります。
融資や返済の実績は、将来的な会社の評価につながります。政府系金融機関の融資で着実に実績を作っておけば、銀行からの評価も高まる可能性があるでしょう。ただし、政府系金融機関の融資制度にも応募要件や審査などがあるので、きちんと準備を進めておく必要があります。
また、補助金や助成金制度を利用する方法も、資金調達の効果的な手段です。各自治体で実施されている制度を活用し、調達した資金で会社の経営を回復させれば、当然銀行からの評価も高まるでしょう。
■【その10】カードローンの利用も検討する
会社としてではなく、経営者個人がカードローンを利用する手段も、効率的な資金調達方法として挙げられます。カードローンであれば手軽に資金をねん出できますし、法人融資と比べると必要な準備が少ない傾向にあります。
カードローンでは融資金額がある程度限られますが、無利息期間などのサービスを上手に活用すれば、銀行融資よりコストを抑えられるかもしれません。また、「売掛金が未回収であり、一時的に資金が不足している」といった状況では、スピーディーに借入できるカードローンのほうが便利な場合もあります。
資金調達にどうしても困っている方は、銀行だけでなく消費者金融も選択肢に含めて、積極的に行動を起こしてみましょう。
【アイフル公式サイト】消費者金融・キャッシング・カードローン
■まとめ
銀行の融資審査は、簡単に通過できるものではありません。そのため、前もって必要な準備を進めておくことで、返済能力が備わっている点や、将来性のある会社という部分をアピールすることが必要です。
今回ご紹介したコツを参考にしながら、銀行から高く評価されるように、入念に準備を進めていきましょう。