経営者・起業家にとって、資金繰りは常に悩まされる課題と言えます。仕入れ費用や設備費用など会社の運営にはさまざまな費用がかかるので、各費用の支払いに困らないように、ある程度のキャッシュは残しておかなくてはなりません。
「売上が少ないから資金繰りが難しい…」と悩んでいる会社は多く見られますが、実は少しの工夫を取り入れるだけで、資金繰りは大きく改善できる可能性があります。もちろん売上は資金繰りに大きな影響を与える部分ですが、資金繰りにおいては売上以外の部分にも、見直すべきポイントがいくつか見られます。
そこで今回は、資金繰りを劇的に改善する7つの方法をご紹介していきましょう。
■会社のキャッシュとは?
そもそも会社の「キャッシュ」とは、どのようなお金を指すのでしょうか?簡単に言えば、キャッシュとは会社が保有している現金のことを指します。
キャッシュはあくまでも「現在保有している現金」を指すので、商品の売上によって将来的に得られる現金、資産を売却することで得られる現金などは含まれません。銀行などの金融機関に預金をしていたり、会社の金庫で保管していたりなど、すぐにでも使用できる現金のみがキャッシュとなります。
このキャッシュが不足すると、会社には主に以下のような弊害が生じます。
・新しい事業に挑戦できなくなる
・従業員に給与を支払えなくなる
・法人税などのランニングコストを支払えなくなる
上記のような弊害が生じれば、会社の評判が下がるどころか、倒産の危機に追い込まれるでしょう。そのため、経営者・起業家は会社のキャッシュフローをきちんと把握し、「どのようなコストがいつ必要になるのか」を意識した上で、十分な金額のキャッシュを残しておくことが必要です。
■資金繰りを改善する7つの方法
では、資金繰りを改善し多くのキャッシュを手元に残すには、具体的にどのような対策を講じれば良いのでしょうか?以下では、会社のキャッシュを1,000万円以上に保つ7つの方法をご紹介していきます。
【その1】まずは悪化の原因を探る
資金繰りに困ると、資金の調達に目を向ける経営者は多く見られます。しかし、資金繰りが悪化した原因を解決しなければ、いくら多くの資金を調達したところで、再び困ることが目に見えています。
したがって、まずは悪化した原因を探るところから始めましょう。悪化の原因を探るには、資金繰り表の作成が必要不可欠です。会社の収支が分かればどのような表でも問題ありませんが、「作成方法が分からない…」という方は、以下の項目で表を構成しましょう。
・前月分の繰越金
・収入
・支出
・翌月分の繰越金
上記の中でも収入と支出に関しては、特に内訳を細かく記載することが重要です。各収入と各支出に対して具体的な金額を記載していけば、会社の問題点が少しずつ見えてくるはずです。
「この部分の収入が少ない」「必要以上の支出がある」などの点に気付いたら、その部分を改善する対策を立てましょう。
【その2】不要な在庫を処分する
会社が商品やサービスを安定的に供給するには、在庫が必要となります。しかし、在庫は維持・管理するだけでも、会社にコストが発生していることを軽視してはいけません。
在庫の維持・管理によって生じるコストとしては、主に以下のものが挙げられます。
・倉庫のレンタル料など、在庫を管理するための場所代
・在庫を管理するために発生する人件費や光熱費
・借入金によって在庫を購入した場合の金利
商品やサービスの売上に対して、これらのコストがかかりすぎている場合は、不要な在庫を抱えている可能性があります。そのような在庫を処分することで、会社のランニングコストを節約できるでしょう。
ただし、在庫の処分にもコストはかかります。処分によって節約できるコストと、処分にかかるコストを明確にした上で、本当に処分するべきかどうかを慎重に判断しましょう。
【その3】売掛金の支払い時期を統一し、できるだけ早く回収する
売掛金とは、商品やサービスは既に納品されているものの、現時点では回収できていない売上金のことを指します。会社は商品やサービスの製造にコストをかけているので、売掛金の増加は経営の圧迫へとつながります。
そのため、売掛金は可能な限り早めに回収することを心がけましょう。納品日から支払い日までの期間を調整することで、売掛金回収の時期を早められる可能性があります。
また、売掛金の支払い時期にズレがある場合も、改善をする必要があるでしょう。支払い時期にズレが生じていると、その売掛金を管理するためのコストがさらにかかるためです。
そのようなケースでは、売掛金の支払い時期が統一されるように交渉することで、資金繰りを大きく改善できる可能性があるでしょう。
【その4】投資や資金投下は慎重に行う
多額の投資や資金投下は、資金繰りを悪化させる大きな要因です。単純に会社のキャッシュが少なくなりますし、不動産や設備に投資をした場合は、管理費などのランニングコストも発生するためです。
したがって、投資や資金投下にはより慎重な姿勢を見せるべきでしょう。投資や資金投下では、すぐに利益を生み出せるわけではありません。リスクを取って利益を狙うよりも、会社にキャッシュを残したほうがメリットが大きいケースも多く見られるので、その点を強く意識して決断を下すことが大切です。
【その5】企業と個人の資金をしっかりと区別する
中小企業においては、会社と個人(経営者)のお金が曖昧になっているケースも珍しくありません。しかし、この部分が曖昧になっていると、自己資金を増やすことが経営者の癖になる可能性があり、会社の経営を圧迫する恐れがあります。
例えば、「会社に利益が生じたから、自分の取り分を増やそう」と安易に考えると、当然会社のキャッシュは減少します。「キャッシュが減少したら、自分の懐から資金を出せば問題ない」と考えている方も見られますが、それは自己資金が豊富にあることが前提の話であり、自己資金がなければ着実に倒産への道を進むことになります。
したがって、企業と個人の資金はしっかりと区別するようにしましょう。もちろん、経営者が自己資金を投入するべき場面もありますが、資金繰りに悩んだ際にはそれがベストの方法なのかを考えて、慎重に判断を下すことが大切です。
【その6】借入金の金利や返済の交渉を行う
借入金の金利や返済条件は、会社の経営に大きな影響を与える部分です。金融機関によっては、金利や返済条件の交渉に応じてくれる可能性があるので、資金繰りに困ったら一度利用している金融機関に相談をしてみましょう。
具体的な交渉ポイントとしては、主に以下の点が挙げられます。
〇毎月の返済額
毎月の返済額が会社の経営を圧迫し、結果として倒産することは金融機関にとってもダメージになります。基本的に金融機関は、「融資をした資金がすべて返済されること」を望んでいるでしょう。
そのため、実際に毎月の返済が負担になっている場合は、交渉をすることで月々の返済額が減額される可能性があります。
〇元金返済の一次猶予
金融機関によっては、元金返済を一時猶予として扱い、しばらくは利息の返済のみで対応してもらえる可能性があります。もちろん、将来的に元金は返済する必要がありますが、返済期間を繰り延べることで会社のキャッシュは一時的に維持できるでしょう。
金融機関に交渉する際には、基本的に経営改善計画を提出する必要があります。会社の不必要な経費などを全て洗い出し、削減計画や収支計画をきちんと立ててから、交渉に臨むようにしましょう。
【その7】資金をねん出できる手段を増やす
資金のねん出方法は、金融機関からの融資だけではありません。ほかのねん出方法を用意しておくことで、会社のキャッシュを増やせる可能性があります。
では、融資以外には具体的にどのような方法があるのでしょうか?
〇補助金・助成金の利用
補助金や助成金の中には、創業後にも利用できる制度が見られます。補助金や助成金は基本的に返済不要であり、将来的に会社の負担になる可能性も低いので、応募要件を満たせる制度を探してみましょう。
実施されている補助金・助成金制度は、自治体によって違いが見られます。また、各自治体だけでなく国や企業なども制度を実施しているので、時間をかけて情報収集をすることが大切です。
ただし、申請が採択されるには、事業計画書や収支計画などの準備が必要になります。面接が実施される制度も見られるので、事前にきちんと準備を済ませておきましょう。
〇私財を売却する
不動産や車など、経営者の私財を売却する方法でも、会社の資金をねん出することは可能です。私財を投げうってでも、会社さえ存続させれば将来的に利益を生み出せるかもしれません。
会社がなくなってしまっては、そもそも事業を進めることができないので、経営危機に陥った際には私財を売却することも検討してみましょう。将来的に会社に利益が生じた時に、売却した私財を再び購入すれば、生活の質も回復させることができます。
また、会社の資金で不動産や株式などの投資を行っている場合にも、現金化をすることですぐに会社のキャッシュを確保できます。
〇ファクタリング
ファクタリングとは、会社が保有している売掛金を売却することで、資金を調達できる手段です。融資には該当しないので、金融機関の審査に落ちてしまった方でも、ファクタリングを利用することは可能です。
もちろん、信用情報に影響が出ることもありませんし、近年では中小企業の資金調達方法として広く注目されています。売掛金さえあればすぐに利用できるので、資金繰りに困っている方は一度検討してみましょう。
資金調達プロのホームページでは、このファクタリングに関する無料診断を受けることができます。調達資金の目安を診断できるので、気になる方は気軽にアクセスしてみましょう。
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■まとめ
会社にはキャッシュが必要不可欠であり、キャッシュがなければ利益を狙うことさえできません。そのため、いくら売掛金が多かったとしても、会社のキャッシュが少ない場合は危機感を覚えるべきです。
今回はそんなキャッシュを増やす7つの方法をご紹介しましたが、会社の状況によって選ぶべき方法は異なります。まずは、資金繰りが悪化した原因を明確にし、どの方法に取り組むべきか慎重に判断していきましょう。
なお、キャッシュは少ないものの、会社に多くの売掛金が存在している場合には、ファクタリングによって短期間で多くの資金をねん出できる可能性があります。このケースに該当する場合は、資金調達プロのホームページにアクセスし、ファクタリングに関する情報収集をしてみましょう。