どのような方法を選んでも、資産の運用にはリスクが潜んでいます。そのリスクを軽視していると、いくら多くの資産を所有していたとしても「いつの間にか資産が底を尽きてしまった…」といった事態に陥りかねません。
しかし、実は資産運用に潜むリスクは、しっかりと対策を施すことである程度抑えることができます。リスク対策を十分に施せば、初心者の方でも安全に資産を増やせる可能性があるでしょう。
そこで今回は、資産運用で失敗しないためのコツをご紹介していきます。
目次
■【その1】失敗しない運用方法を選ぶ
資産運用には多くの方法がありますが、どの方法を選ぶのかによって抱えるリスクは大きく変わってきます。まずは、主な運用方法に関して、具体的にどのようなリスクが潜んでいるのかを以下で見ていきましょう。
〇株式投資
売却益や配当金、株主優待による利益が生じる一方で、株価が下がると損失を被る可能性がある。企業が倒産をすると、保有した株式の価値がゼロになる。
〇外国為替証拠金取引(FX)
為替変動によっては、短時間で多額の損失を被る可能性がある。また、短時間で為替が大きく変動したり、レバレッジによって多額の取引をしたりすると、証拠金が不足することで強制的に決算されることがあるので要注意。
〇投資信託
全てではないが、多くの投資信託には元本保証が備わっていないので、元本割れを引き起こす恐れがある。
〇銀行への預金
元本保証は存在しているものの、基本的には最大1,000万円まで。つまり、ひとつの口座に1,000万円以上預金しており、銀行の経営が破綻した場合は、元本割れを引き起こす可能性も少なからずある。
このように、よく知られている運用方法にもいくつかのリスクが存在しています。また、リスクの大きさは運用方法によって異なり、例えば上記の株式投資やFXに比べると、銀行への預金はリスクが小さいと言えるでしょう。着実に資産を増やすには、できるだけリスクの小さい手法を選ぶことが大切です。
ただし、基本的に利益とリスクの大小は比例するので、ある程度のリスクを取らないと、資金によっては1,000万円を貯めることが難しいでしょう。資金の金額と各運用方法のリスクを見比べ、1,000万円を貯められる可能性がある運用方法の中で、失敗する可能性が低い方法を選ぶことが大切です。
■【その2】分散投資を検討する
資産運用の効果的なリスクヘッジとして、主に活用されているのが分散投資です。分散投資とは、資金の投資先をひとつに絞らず、投資先を分散させることで、各投資のリスクを抑える手段を指します。では、具体的にどのように投資先を分散させる方法があるのでしょうか?
・投資する国を分散する…FXや外貨預金など
・投資する時期を分散する…FXや株式投資など
・投資するモノを分散する…株式投資と不動産投資を組み合わせるなど
上記以外に、真逆の特性を持った2つの投資先に分散する手段もあります。例えば株式投資において、異なる値動きをする2つの銘柄を保有しておくと、どちらかの価値が下落してももう一方は上昇する可能性が高いので、結果として損失を抑えることにつながります。
分散投資にもさまざまな手法があるので、自分が行う資産運用に関する手法をきちんと調べておきましょう。
■【その3】運用に関する情報を徹底的、継続的に収集する
資産運用の状況は、1日単位で大きく変わることもあります。例えば、FXで大きく為替レートが動いた時、株式投資で日経平均株価が大きく変動した時などは、資産が大きく増える、もしくは大きく減る可能性が考えられます。
そのような場合でも、徹底的・継続的に情報収集をしておけば、取引の望ましいタイミングを逃さないはずです。逆に情報収集を怠ると、「寝ている間に大きく損をしていた…」といった事態に陥りかねません。
したがって、資産運用に関する情報は、徹底的・継続的に調べておくことが重要です。長期運用を計画している場合でも、こまめに運用状況を確認することで、運用リスクを大きく抑えられるでしょう。
また、同じ運用方法を選ぶ場合でも、具体的な運用先によって利率やリスクは異なります。例えば、FXでは利用する会社によってルールや手数料が変わりますし、預金では利用する銀行によって利率が変わります。
今後、新たな証券会社やネット銀行などが登場する可能性も十分に考えられるので、常に情報収集をして、より良い条件で運用できる方法を常に選ぶようにしましょう。
■【その4】リスクヘッジは必ず行う
資金を着実に増やすには、どの運用方法を選ぶ場合でもリスクヘッジは必須となります。分散投資も立派なリスクヘッジですが、運用方法によってはほかにもリスクヘッジの手段はあるので、可能な限りリスクを抑える努力をしましょう。主なリスクヘッジの手段としては、以下のような方法が挙げられます。
・株式投資…信用取引によって、保有株の価値が急落する前に信用売りをしておく。
・FX…含み損が増えてきたタイミングで、買いポジションなら買いポジションのように、当初と同じ取引(ナンピンと呼ばれる)を行う。
ただし、リスクヘッジの手段によっては、逆に損失リスクを高めてしまう恐れもあります。上記の例で言えば、FXでナンピンをした後に為替レートが同じ方向に動き続けると、損失がますます拡大する恐れがあるでしょう。
そのため、各運用方法にはどのようなリスクヘッジがあるのかを把握した上で、資産額や目標に適したリスクヘッジを施すことが重要になります。
■【その5】損切りなどの損失に関するルールを作る
資産運用は必ず成功するものではなく、失敗をするケースも少なくありません。特に、株式投資やFXなど売買によって利益を得る運用方法については、毎回利益を生み出すことが難しい傾向にあります。
仮に、あなたが資産運用によって損失を被った場合には、その損失額を可能な限り抑えることが大切です。例えば、株式投資やFXなどでは、含み損があっても早めに決済(損切りと呼ばれる)をすることで、損失額を抑えられます。
しかし、含み損が残っている状態で決済をすることは、簡単ではありません。お金に対する欲から、「いつか含み損が含み益に変わる時期がくる」「もしかしたら好転するかもしれない」と考え、損切りのタイミングが遅れてしまうケースは多く見られます。
そのため、どのような状況でも冷静に損切りができるように、「運用を引き上げるルール」を作っておきましょう。引き上げるルールを作り、そのルールを徹底的に守ることが、結果として運用リスクを抑えることにつながります。
■【その6】ひとつの運用方法に固執しない
資産運用では、ひとつの運用方法に絞るべきではありません。ほとんどの運用方法には、利益が生じやすい時期と損失を被りやすい時期があるためです。
例えば、国内全体が不況の時期には、株式の価値も全体的に下がる傾向が見られます。そのような時期に株式の購入に絞っていると、損失リスクが一気に高まるでしょう。そこで、運用方法を利益率の高い投資先にその都度変更される投資信託に変更すれば、国内の景気の影響を受けにくいのでリスクを下げつつ効率的に運用することができます。
したがって、資産の運用方法は時期によって変えることが望ましいと言えます。運用方法の変更には手間がかかりますが、運用リスクを抑えて利益率を上げるために、その都度適した運用方法を選ぶようにしましょう。
■【その7】増やそうとするのではなく、維持することを目標にする
初心者の方は、まずは資産を増やすことではなく、資産の維持を目標にしてみましょう。資産の増加から維持に目標を変更すると、当然目標となる利率のハードルも下がるので、運用リスクを抑えやすくなります。
逆に、資金を無理に増やそうとすると、より大きなリスクを抱える必要があるので、失敗した時のダメージが増大します。また、「どうしても増やさなきゃならない」といった欲や焦りが出て、損切りのタイミングを逃すことにもつながりかねません。
資産運用は長い期間続けていると、少しずつ知識やスキルが蓄積されていきます。そういった知識・スキルを上手に活かせば、よりリスクを抑えた形で、着実に資金を増やしやすくなるでしょう。
そのため、初めのうちは資金の維持を目標にして、基本的な知識・スキルを身につけることが大切です。
■【その8】資金に見合った運用方法を選ぶ
同じ運用方法を選んでも、資金の金額によって得られる利益は異なります。例えば、利回り1%の金融商品に投資したとすると、資金100万円では1年間で1万円の利益となりますが、資金500万円では1年間で5万円の利益になります。
したがって、資産運用によって1,000万円を貯めたい場合には、資金の金額に見合った運用方法を選ばなければなりません。つまり、資金が少ない場合にはある程度のリスクは覚悟しつつ、利回りの高い方法を選ぶ必要があるでしょう。
事前に目標金額と目標年数を設定して、必要な利回りを算出しておくことで、資金に見合った運用方法を選びやすくなるはずです。
■【その9】課税が繰延できる方法を選ぶ
運用方法にもよりますが、資産運用によって生じた利益には、基本的に税金がかかります。「できるだけ利益を増やしたい」と悩んでいる方は、この税金の支払いを繰延できる運用方法を検討してみましょう。
こまめに利益を受け取れる運用方法では、その都度税金を支払う必要があるので、福利効果が減るとされています。それに対して、一度にまとめて利益を受け取れる運用方法では、税金が発生するタイミングが減るので、その分利益が大きくなります。
課税が繰延できる運用方法としては、一括で元金と利息を受け取るタイプの定期預金などが挙げられるでしょう。また、運用方法によって税率にも違いが見られるので、その点に注意しながら運用方法を絞ることも大切です。
■まとめ
資産運用にはリスクが潜んでいるので、適当に運用方法を選ぶべきではありません。十分なリスクヘッジを施せるかどうか、安定的に利益を生み出せるかどうかが、資産運用では重要なポイントになります。
ただし、資金の金額によっては、ある程度のリスクを取らなければ、思ったように資産を増やせない可能性もあるでしょう。したがって、運用する資金の金額や目標金額、目標年数をしっかりと設定した上で、各ケースに適した運用方法を選ぶことが大切です。
世の中にはどのような運用方法があるのか、各運用方法の利回りやリスクヘッジの手段などを調べた上で、慎重に運用方法を選ぶようにしましょう。