起業資金の調達方法8選!借入・出資などメリットデメリット完全比較

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「起業資金の調達方法が見つからない…」と悩んでいる方はいませんか?融資を受けようにも、事業計画などがなかなか評価されず、融資審査に落ちてしまうケースは珍しくありません。

しかし、起業資金にはさまざまな調達方法があることをご存じでしょうか?複数の調達方法を知っておけば、その分融資を受けられる可能性は高まりますし、起業後に資金不足に陥った際にもその知識が役立ちます。

ただし、調達方法によってメリット・デメリットが異なる点には注意しなければなりません。経営を安定させるには、各方法のメリット・デメリットをしっかりと比較した上で、自分により適した方法を選ぶ必要があります。

そこで今回は、8つの資金調達方法について、メリット・デメリットなどを分かりやすく解説していきましょう。

■【その1】日本政策金融公庫からの融資

日本政策金融公庫(日本公庫)は政府系の金融機関であり、起業家に向けた融資制度を複数実施しています。日本公庫の主な目的は、銀行などの金融機関から融資を受けられなかった中小企業や起業家の支援とされているので、起業資金の調達にはぴったりな機関と言えるでしょう。

ただし、具体的な制度によって融資金額などの特徴は異なるので、以下では代表的な2つの融資制度の特徴について簡単にご紹介していきます。

 

新創業融資制度

〇メリット

・借入金額にもよるが、無担保・無保証人での借入が可能

・申し込みから融資までのスピードが比較的速い

自己資金が少なくても審査に通りやすい

〇デメリット

・自治体の制度融資に比べると、金利が若干高い傾向にある

〇調達額の目安

・最大で3,000万円

〇スピード

・通常申し込みから融資まで1ヶ月程度

〇向いている人

・創業資金に対して、自己資金の割合が少ない

・創業前に、余裕を持って資金を準備しておきたい方

・事業の開始予定時期まで、時間があまり残されていない

新創業融資制度|日本政策金融公庫

 

新規開業資金

〇メリット

融資限度額が高い

・自己資金の2倍までの金額が借りられる

・開業後7年目まで利用できる

・ケースによっては、担保と保証人が不要

〇デメリット

・審査にかかる期間が少し長い

・新創業融資制度に比べると、審査の傾向が少し厳しいとされている

〇調達額の目安

・最大で7,200万円

・ただし、うち4,800万円は運転資金

〇スピード

・通常申し込みから融資まで1ヶ月2ヶ月程度

〇向いている人

多くの開業資金が必要な方

・自己資金を多く確保している方

・開業後、多額の運転資金が必要な事業を始める方

新規開業資金|日本政策金融公庫

 

■【その2】銀行からの融資

日本全国に存在する銀行も、起業家に向けて融資を行っています。具体的なものとしては、信用保証協会が保証をする融資、間に信用保証協会を挟まないプロパー融資が挙げられるでしょう。

銀行は一般の方向けにも融資を行っていますが、法人向けと個人向けの融資には異なる特徴が見られます。そのため、以下で法人向け融資の特徴をしっかりとつかんでおきましょう。

 

〇メリット

・知名度が高く、店舗の選択肢が多い

・メガバンクを利用すれば、支店が多いため利便性が高い

・ノンバンクと比べると、金利を抑えやすい

〇デメリット

信用性が重視されるので、設立直後は融資を受けることが難しい

〇調達額の目安

・ケースによって融資限度額が大きく異なる

・信用性が高ければ、3,000万円以上の融資を受けることも可能

〇スピード

・銀行や申請者によって大きく異なる

・通常は1週間1ヶ月程度

〇向いている人

・会社を長い期間経営しており、経営状況が安定している

・将来的に多額の融資を受けることを想定し、銀行と良好な関係を築いておきたい方

売上に根拠のある、大きな事業を始めたい方

 

■【その3】信用金庫からの融資

国内の各地域に存在している信用金庫は、信用保証協会を通して起業家に融資を行っています。信用金庫に対して、銀行に似たイメージを持っている方も見られますが、銀行と信用金庫では経営方針や融資の目的などが異なります。

信用金庫は銀行に比べると地域性が強い傾向にあり、融資においては基本的に個人や中小企業を対象としています。また、地域社会全体の利益を重視する機関なので、地域密着型の事業を始める予定の起業家にとっては、重要な存在となるでしょう。

 

〇メリット

・地域密着型の店舗が多く、地域に関する情報を提供してもらえ可能性がある

・銀行に比べると、融資のハードルが低い

顧客や取引先などを紹介してもらえる可能性がある

〇デメリット

・銀行と比べると金利が高い傾向にある

・従業員数が300人超、もしくは資本金が9億円超の事業者は利用できない

〇調達額の目安

・自己資金の25%前後

・銀行に比べると、融資限度額が低めに設定されている

〇スピード

・信用金庫や申請者によって大きく異なる

〇向いている人

地域密着型の事業に取り組む予定の方

顧客や取引先の確保に悩まされている

・銀行での融資審査に落ちてしまった方

 

■【その4】補助金・助成金制度の利用

各自治体や大手企業、財団などが実施している補助金・助成金制度。そんな補助金や助成金の中には、初めての起業を目指す方を支援するための制度も見られます。

なお、補助金と助成金は厳密には異なる制度であり、一般的には補助金制度のほうが細かいルールが設定されています。例えば、補助金制度では「資金を事業に使った」という証明が必要になりますが、助成金制度ではその証明が必要ありません

補助金・助成金は制度によって特徴が異なりますが、以下では全体的な傾向をご紹介していきましょう。

 

〇メリット

・基本的には返済が不要

・地域によっては、多くの補助金・助成金制度が実施されている

〇デメリット

申し込み期間があり、常に利用できるわけではない

・制度によっては、資金の使途範囲が狭い

・日本公庫や銀行の融資と比べると、金額が少ない

〇調達額の目安

100万円200万円前後

〇スピード

・利用する制度によって大きく異なる

・制度によっては、数ヶ月後に後払いになることがある

〇向いている人

多くの制度が整っている地域で起業をする方

・各制度の応募要件を満たしている方

融資の返済に大きな負担を感じている

 

■【その5】再就職手当の利用

再就職手当とは、雇用保険が適用される事業者のうち、受給資格を満たした方が利用できる厚生労働省による制度です。名称に「再就職」がついていますが、この再就職には創業も含まれているので、起業家の方でも条件を満たせば利用することができます。

ただし、再就職手当が支給されるには、失業保険の支払い日数を残しておく必要があります。前職を退職し、長い期間失業保険を受け取っていると利用できない可能性があるので注意しておきましょう。

 

〇メリット

・退職日から1年以内に起業する方であれば、好きなタイミングで申請できる

返済をする必要がない

〇デメリット

・自己都合で退職をすると、申請に1ヶ月間の待期期間が必要となる

・創業してから1ヶ月以内に支給申請書を提出する必要があるので、創業後にも長く活用できる制度ではない

〇調達額の目安

・前職の所定給付日数により変動する

・前職での待遇にもよるが、金額の目安は10万円100万円前後

〇スピード

・ケースにもよるが、通常申し込みから2ヶ月3ヶ月かかる

〇向いている人

・現在働いており、将来的に退職してから起業をする

再就職手当のご案内

 

■【その6】親族・知人から借りる

起業家の中には、親族や知人から借りたお金を起業資金にする方も見られます。これも立派な調達方法であり、人によっては手軽に実践できる方法と言えるでしょう。

ただし、メリットがある反面で当然デメリットもあるので、具体的なリスクを把握した上で、本当に借りるべきかどうか慎重に判断することが大切です。

 

〇メリット

ある程度自由な条件でお金を借りやすい

・申し込みなどの手続きが不要

・応募要件などを満たす必要がない

〇デメリット

・親族や知人もリスクを抱えることになる

個人間のトラブルにつながるリスクがある

〇調達額の目安

・ケースによって大きく異なる

〇スピード

・交渉がスムーズに進めば、短期間での借入も可能

〇向いている人

将来的に従業員として雇用する、親族や知人が身近にいる方

多くの資産を所有した親族や知人が身近にいる方

・融資や補助金の審査に通らなかった方

 

■【その7】ベンチャーキャピタルからの投資

ベンチャーキャピタル(VC)とは、投資を行うことでハイリターンを目的としている投資会社を指します。投資契約の内容はケースによって異なり、基本的にはVCと起業家が合意をすることで投資が成立します。

基本的にVCは、スムーズな返済を期待して投資をするのではなく、会社の成長を期待して投資を行っています。そのため、あなたの会社が将来的に有望であれば、多額の投資を受けられるかもしれません。

 

〇メリット

顧客やビジネスパートナーなどを紹介してもらえる可能性がある

・VCによる、専門的な経営アドバイスを受けられる可能性がある

・VCはハイリターンを求めているので、未上場企業にも投資のチャンスがある

〇デメリット

・基本的に、将来が有望な会社にしか投資されない

・起業家本人の保有株比率が下がる

・起業家が自由に経営できなくなる可能性がある

〇調達額の目安

・ケースによって大きく異なる

・VCが興味を示せば、多額の投資も実現可能

〇スピード

・ケースによって大きく異なる

・VCから投資をされるには、一般的にVCについての情報収集を行い、投資元を探した上でプレゼンテーションを行う必要がある

〇向いている人

将来的に自社を上場企業にしたい

・プレゼンテーションや事業内容に自信を持っている

 

■【その8】個人投資家からの投資

起業家の中には、個人の投資家からの投資により、会社を経営している方も見られます。このケースもVCと同様であり、基本的に両者の合意により投資が実現することになります。

ただし、個人投資家は人によって投資の目的が異なるので、ケースに合わせて準備を進めなくてはなりません。VCのように会社の成長を期待する個人投資家も見られますが、もちろん利益を最優先する個人投資家も存在しています。

 

〇メリット

顧客やビジネスパートナーなどを紹介してもらえる可能性がある

・自身も経営者の個人投資家であれば、専門的なアドバイスを受けられる

・応募要件が特にないので、どのような起業家にも投資のチャンスがある

〇デメリット

・情報収集をして、個人投資家と知り合う必要がある

〇調達額の目安

・ケースによって大きく異なる

・個人投資家が興味を示せば、多額の投資も実現可能

〇スピード

・ケースによって大きく異なる

〇向いている人

個人投資家の知り合いがいる

さまざまな業界に人脈を築いている

注目されやすい事業を行っている方

 

■資金の調達方法はどう選ぶべき?

ここまでご紹介してきたように、起業資金の調達方法にはさまざまな手段があります。そのため、「自社に適した方法が分からない…」と悩んでしまうこともあるでしょう。

そのような方は、一度自身の事業計画を見直し将来的な目標を設定することが大切です。「どのような会社を目指したいのか」が明確になれば、資金が必要になる時期や金額などが見えてくるでしょう。時期や金額を踏まえて調達方法を選ぶことで、失敗する可能性を抑えられるはずです。

また、適した調達方法を見極めたとしても、必ずその方法が成功するわけではありません。資金がなければ事業を始めることもできないので、失敗した際にすぐほかの手段に移れるように、複数の調達方法を候補として考えておきましょう。

 

■まとめ

いかがでしたでしょうか?

起業資金には多くの調達方法があり、方法ごとにメリットやリスクなどが異なります。資金を調達できたとしても、自分や会社にとって大きなデメリットが発生する場合は、一度その方法を考え直すべきでしょう。

各方法の違いをしっかりと押さえて、適した調達方法を慎重に選ぶことが大切です。

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