アメリカなどに比べて、日本では「起業」をこころざす人が少ないです。その理由はいくつかありますが、一番大きい理由は日本の学校教育制度にあるでしょう。
日本の学校教育は一言で言うと「暗記中心型教育」です。そして、そのような教育を受けた若者が社会に出ても起業を目指す人は非常に少なく、仮に起業を考えたとしてもすぐ挫折してしまうのです。
なぜ日本では起業を目指す人が少ないのか、起業において先進国であるアメリカと比較しながら、実は日本は企業のチャンスであふれていることについて具体的に5つの事例をご紹介します。
日本式暗記教育の弊害
そのことを具体的に述べた本『「起業家教育」で子供が変わる』によると、学校教育には「お金」の勉強が決定的に欠けているそうです。そのことが高度経済成長期以降の日本でどんどん矛盾が大きくなっていき、覇気のない若者が社会に送り出され続けていると警鐘を鳴らしています。
ですので、もしあなたが起業をしたい、と思っていてもなかなか起業に踏み切れなかったり、途中で起業を挫折された経験があるとしても、それはある意味普通のことなのです。
特に教育関係にお勤めの方はぜひお読み下さい。
この記事では、あなたが起業しようとするに当たって不安に思っていることをまず取り除き、今の日本が起業をするチャンスである3つの理由とローリスクでできる5つの起業のチャンスをご紹介いたします。
なぜ、アメリカでは起業が盛んなのか?4つの理由
まずは、日本と比較する意味でアメリカにおいてなぜ起業が盛んに行われているかについて4つの理由をご紹介します。その4つの理由を知ることによって、日本との違いを理解することは大事なことです。
①開拓者精神
まずは「フロンティアスピリット」とも呼ばれる、アメリカの開拓者精神があげられます。コロンブスのアメリカ大陸到達以降、どんどんアメリカ西部に向かって開拓をしていき、自然の脅威やインディアンの抵抗などを乗り越えながら19世紀末ごろに現在のアメリカ合衆国を形作るまでの過程が開拓者精神と呼ばれています。
この開拓者精神があるからこそ、起業して成功しようという考えがアメリカ人にはとても強く、また成功しようという意識も強く働いているのです。
その反面、日本は島国日本であり、他国に侵略された経験もほぼない「ムラ社会」の国なので、アメリカのような開拓者精神は歴史的に育ちにくかったのです。
②考えるよりまず行動
次に、アメリカ人の率先性が挙げられます。「考えるよりまず行動した人が勝つ」という考え方がアメリカでは一般的です。だからこそ、アメリカではいろいろな文化、宗教、人種などが積極的に取り入れられているのです。
起業するに当たって、これはとても大事な考え方です。起業をする失敗の原因として、「考えすぎて行動しない」ことが挙げられます。自己啓発書や起業ノウハウなどを勉強し、自分がやりたいことはなんなのかを考え、ビジネスプランを練り・・・といろいろなことをやっているうちに、起業に対する情熱が冷めてしまうというパターンです。
「成功する人は、例外なく決断のスピードが早い。そして一度決断したことをやめるときは慎重である」とナポレオン・ヒルの名著『思考は現実化する』でも述べられています。失敗する人はこの逆です。ちなみに、これは無鉄砲に行動せよ、ということでは決してありません。
③ストックオプション
次は、アメリカの「ストックオプション」という制度も起業を後押ししています。
ストックオプションとは、会社の役員や従業員が一定期間内に一定価格で自社株を購入できる権利のことです。このストックオプションは、株価が上がれば上がるほど大きな利益が得られるため、起業する際に大きなメリットになるのです。
通常、株価は会社の業績が良いと上がり、悪化すると下がります。
しかし、ストックオプションを活用すると起業するときのリスクが小さくなるのです。
例えば、ある時点で1000株を1株10ドル(合計10000ドル)で買えるストックオプション権があったとしましょう。
通常この権利は無償で割り当てられ、たとえば、1年後に250株の権利が実現でき、2年後にさらに250株、そして4年後に残り500株の権利を手にします。長く在籍するほど権利行使できる株数が増えるわけです。
そして、会社の業績が順調に伸びたとします。権利が与えられて4年以降の時点で株価が20ドルになったので、ストックオプションの権利を行使することにしました。そのときの含み益は(20ドル-10ドル)×1000株となり、1万ドルとなります。
このストックオプションで最も優れている点は、株価が下がった場合は権利を行使しなければ、何の損も発生しないということです。もちろん株価が上がった方が得をするので、リスクを考えずに業績の向上に力を注ぐことができるのです。
④エンジェル投資家の存在
起業する際には、通常多額の資金が必要になります。これは日本でもアメリカでも同じです。自己資金や家族・親戚・友人からの借入金で全てまかなえればよいですが、そのようなケースは希でしょう。ですので、銀行などのベンチャーキャピタル等を利用することになりますが、通常は担保や連帯保証人などが必要になり、また1〜2億円以下の投資を検討することはあまりないため、自分が起業する際に必要な資金を得るにはそれなりのリスクを背負わなければならないのです。
そんな起業をこころざす人を助ける存在が「エンジェル投資家」と呼ばれる人々です。彼らは、起業したての人に資金を供給する富裕な個人のことです。エンジェル投資家は投資の見返りとして株式や転換社債を受け取ることが一般的で、もし投資のリターンが得られなかったとしてもその返済はしなくてもよいのです。
日本で言う「出世払い」のようなものと言えるでしょう。ただ、日本においては伊藤穣一さんのように世界的なエンジェル投資家もいるものの、アメリカやヨーロッパに比べればまだまだ少ないため、日本では起業が浸透しにくいのです。
今の日本が起業するには大チャンスである3つの理由
起業についてアメリカから大きく引き離されている日本ですが、実は起業するために大きなチャンスが到来しているのです。その理由を3つ挙げました。
①日本は近年まれに見るほど経済状況がよくなっている
2015年の日本経済は、為替が1ドル=120円台前半を維持し、日経平均も2万円台に接近しました。この傾向は2016年以降も継続する可能性が高いと言われています。つまり、日本はバブル期以来、もしかしたらそれ以上の好景気とも言えるのです。
つまり、起業をするためには有利な材料だと言えるでしょう。
一方で、少子高齢界問題、ふくれあがる一方の赤字国債、ワーキングプアの問題などなど様々な社会問題があり、日本経済の先行きを心配する意見もあります。でも、そのような社会も代があるからこそ、日本にはより多くの起業家が求められているのです。雇用問題も日本の財政問題も、新たな産業が日本で育つことによって解決できるからです。
②続く低金利
銀行にお金を預けて「1年あずけて金利がわずか0.1%ぐらいなんて・・・」と嘆く人も多いと思いますが、そのことは、起業する側にとって有利なのです。
金利が低いということは、銀行からお金を借りる際に有利ですし、可能であれば国民金融公庫などからの融資も積極的に利用すべきです。
現在、日本銀行は「ゼロ金利政策」がとられています。1999年に日本銀行は短期金利の指標である無担保コール翌日物金利を史上最低の0.15 %に誘導することを決定し、そこから「ゼロ金利政策」が始まったと言われています。その後、何度か解除と再設定を繰り返しています。海外では「マイナス金利政策」をとる国まででてきました。
そんな中、アメリカのFRBは2015年末にゼロ金利政策を解除しました。それにより、さらなる円安ドル高が進むのではとも言われています。
ですので、日本でゼロ金利が継続している間に起業すると有利です。
③会社法改正
起業する際に絶対に勉強しておかなければならないのが「会社法」です。頻繁に改正を繰り返していますので、起業を考えている方はポイントを押さえておきましょう。
さて、その会社法は平成18年5月に施行されました。これにより、従来の法律と比べて様々な面で起業がしやすくなりました。特に株式会社を起業する際には有利になりました。いわゆる「1円起業」が可能になったのです。従来は株式会社は1,000万円、有限会社は300万円の最低資本金が必要だったのですが、それが必要なくなったのです。さらに、取締役が最低3人必要だったのが、1人でも可能になりました。つまり、個人で株式会社を起業することが容易になっているのです。
会社法についてより詳しく知りたい方むけに参考になる記事を紹介しておきます。
こんなにある!起業のチャンス5選
さて、日本で起業できる条件が良くなっていることをご理解いただけたと思いますが、まだ不安の方が大きいかもしれません。そんなあなたに、今後起業して成功する可能性が非常に高い分野を5つご紹介します。早く取り組むほど先行者利益が得られます。
①『オートパイロットシステム』(自動車の自動運転)
Googleカーに代表されるように、『オートパイロットシステム』(自動車の自動運転)の研究が世界中で進んでいます。このことにより、自動運転車が普及するとそれに伴い様々なニーズが生まれます。自動車そのものだけでなく、道路や信号機などのインフラも今後発達していきます。
②新エネルギー
2011年の東日本大震災以降、原子力発電所に対する信頼は揺らいでいます。国による太陽光発電の買い取り制度や、日本においても電力の自由化が進んでいることなど、従来とは違ったエネルギー事業の可能性が拓けています。風力発電、水力発電、地熱発電、バイオ発電などがあります。
③介護事業
あなたがおすまいの地域にもデイサービス施設などが増えているのではないでしょうか?現在、急速にすすむ高齢化に対し、施設も人手も不足しています。海外からの労働者受け入れの規制緩和が進んでいるのも、この介護労働者不足が一因とされています。介護事業はもちろん、介護用具(車いす、バリアフリー住宅など)を開発・販売する企業も今後伸びるでしょう。
④ドローン
首相官邸の上空に出現したことなど、問題点が多く指摘されているドローンですが、今後法規制も強くなり、すでに一部ではドローンを作業用に使っている産業もあります。特に第一次産業でドローンを使用する場合は、高齢者が使用する場合が多く、そういった人にドローンの使い方を指導するサービス会社を起業するのも成功しそうです。
世界最小サイズのドローン「SKEYE Nano Drone 」
⑤インターネット代行
これも高齢化にちなんだものですが、パソコンやスマートフォンを使おうと思っても操作、設定方法がわからないケースが非常に多いです。スカイプ相談や動画解説などもありますが、そもそもそれが利用できないのです。パソコン教室、出張家庭教師、設定代行などをするだけでなく、利用者同士のネットワーク作りをすれば、口コミで利用者が増えることも期待できます。
情熱さえあれば起業できる
結局のところ、起業するのに一番重要なのは情熱です。日本式の暗記教育にどっぷりつかってきた人にとっては、この情熱が生まれにくいかもしれません。事実、日本で起業している人の多くはアメリカ留学の経験があったり、日本教育の枠組みから外れた人が多いと言われています。
では、その起業に対する情熱はどのようにして生まれてくるのでしょうか?一つのヒントは、「仲間の存在」だと思います。あなたと同じ考えをもつ起業家仲間をぜひ探しましょう。そして、その仲間と夢を語り合うことで、挫折しそうになったときにも奮起できるのです。
まとめ
今の日本で起業するチャンスが大きいことがおわかりいただけましたでしょうか?起業のチャンスも5つご紹介いたしましたが、これからもさらに多くの起業のチャンスが新たに出てくると思われます。
例えば、今後日本に多く外国人労働者が訪れる可能性がありますが、通訳や外国の文化に詳しい相談員などが今後求められるかもしれませんし、ビットコインなどの仮想通貨が日本でも広く流通するかもしれません。
そのようなあらゆる変化に素早く対応できれば、起業のチャンスは無限とも言えるのです。