インターネット証券会社に口座を開き口座に入金が済んだら、いよいよ株式投資を始めることができます。
証券口座のインターネットページには、株式投資において銘柄を選ぶ助けとなる様々な情報があります。業績やニュースは何となくわかっていても株式投資の初心者にとっては、板やチャートとなるとそれが何を意味しているのか分からない方も多いのではないかと思います。何も分からないのに大事なお金を投資するのは不安ですよね。
そこで今回は「株式投資の基本!分かりやすい板・チャートの見方と使い方」と題して、板・チャートの見方と使い方を分かりやすく解説します。
株式投資の初心者の方でも分かるように、画像や図を使いながら、分かりやすく解説しています。また、専門的な言葉には解説や注釈を入れるなど、知識が無い方でも理解できるようにしています。
今回の記事をよく読み株式投資の基本情報である板・チャートについて理解することで、株式投資について知らない・不安・分からない点を解消することができます。株式投資はリスクがある自己責任で行う投資ですが、様々な情報から株価の今後の推移を予想して、株式投資を始めてみてはいかがでしょうか。
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目次
①まずはここから理解しよう!板って何だろう?
まずは板(いた)から解説していきます。
板(いた)とは板情報(いたじょうほう)や気配値(けはいね)ともいい、株式の売買を行う上で参考にする情報です。板の実物は、各証券会社によって表示やレイアウトは少しずつ異なりますが、下の画像のようなものです。
数字が沢山並んでいますね。後ほど詳しく解説していきます。
株の売買は、証券取引所で「株を買いたい人の注文」と「株を売りたい人の注文」がマッチングされた時に成立します。これを、株式の約定(やくじょう)といいます。
ですから、どんなにあなたが株を買いたいと強く思っていても、実際にその株を売りたい人がいなかったりあなたが買いたい値段で売りたい人がいなかったりすると、株を買うことはできません。逆に言うと、株を売りたい人がいくらの株価で売りたいのかを知ることができれば株を買える可能性は高くなります。
そうした、株を買いたい人と売りたい人の「いくらの値段で買いたいのか」と「いくらの値段で売りたいのか」という情報をまとめて表示したものを「板」と呼びます。ある銘柄の売買の注文状況を表したものと言うこともできますね。
なお、「株を買いたい人がいくらの値段で買いたいか」の情報を集めたものを「買い板」、「株を売りたい人がいくらの値段で売りたいか」の情報を集めたものを「売り板」と呼びます。「買い板」は板の右側、「売り板」は板の左側に表示されます。
②今売買したい株数と値段がひと目で分かる!板の見方
つぎに、板の見方について解説します。
板を見ると、売気配株数・買気配株数・気配値の3つにわかれていることが分かると思います。それぞれが示している内容は以下の通りです。
名称 | 内容 |
---|---|
売気配株数 | 株を売りたい人が何株売りたいかの情報を集めたもの |
買気配株数 | 株を買いたい人が何株買いたいかの情報を集めたもの |
気配値 | 株を売りたい人と買いたい人が希望する値段 |
例えば下の図のような板の状況だったとします。
売気配株数は「株を売りたい人が何株売りたいかの情報を集めたもの」で、気配値は「希望する値段」ですから、127円で売りたい人の株数は51000株になります。
買気配株数は「株を買いたい人が何株買いたいかの情報を集めたもの」で、気配値は「希望する値段」ですから、122円で買いたい人の株数は49000株になります。もちろん、これは1人の人が49000株の買い注文を出しているとは限らず、多くの場合は沢山の人の買い注文の合計になります。
株の売買注文と板の変化
先ほどの図の銘柄の株の売買においては、124円と125円の間で買いたい人と売りたい人のマッチングが行われず睨み合っているような状態です。そのため、すぐにこの株を買いたい場合は125円なら買うことができますし、すぐに売りたい場合は124円なら売ることができる訳です。
この状態で、株を売りたい人が「124円・12000株」の売り注文を出したとします。この注文が約定すると、板は下の図のように変わります。
「124円・12000株」の売り注文が入るまでは、124円の買気配株数が8000株ありました。その8000株の買い注文が約定し板からなくなり、124円の売気配株数に12000株-8000株=4000株が残る訳です。
結果として、今度は124円と123円の間で買いたい人と売りたい人のマッチングが行われず睨み合っているような状態に変化しました。すぐにこの株を買いたい場合は124円なら買うことができますし、すぐに売りたい場合は123円なら売ることができるように変化した訳です。
このように、株の売買注文がされることで株価と板は変動していくのです。
板の見方で気をつける点の1つに、特別気配と呼ばれる状態があります。特別気配とは、簡単に言うと「ある銘柄の株式の買い注文または売り注文がどちらかに偏っている状態」のことです。
特別気配の状態になると、板に「特」または「ト」と表示されます。
買い注文が売り注文より多いことを「買いの特別気配」と言い、売り注文が買い注文より多いことを「売りの特別気配」と言います。一般的には、買いの特別気配の場合には株価上昇が見込まれ、売りの特別気配の場合には株価下落が見込まれます。
なお、特別気配が表示された場合はその銘柄の株の売買が一時停止され、株の売買成立が「板寄せ方式」という方法になります。詳しい説明は省略しますが、「買いの特別気配の場合だと自動的に株価が上がっていき、売りの特別気配の場合自動的に株価が下がっていく」と覚えておいてください。
なお、証券取引所の取引時間終了まで特別気配が続いた場合、ストップ高もしくはストップ安になります。ストップ高(ストップ安)とは、ある銘柄の株価が1日の値幅制限まで価格が上昇(下落)することを言います。
③売買の値段・株数やタイミングに活かす!板の使い方
板についての最後に、板の使い方について解説していきます。
株式投資を行う沢山の人が、板を見ながら株の売買の意思決定をしていきます。そうした売買の注文が板の情報を変化させ、またその変化を見た人が新たに株の売買の意思決定をしていきます。このように株価はリアルタイムで変動していきます。
現物で持っている株を少しでも高い値段で売ろうとタイミングを見ていたら、株価がどんどん下がっていって結局安い値段で売らざるを得なくなることがあります。逆に、少しでも安い値段で株を買おうとタイミングを見ていたら、大きな成行(なりゆき)の買い注文により急激に手が出せないくらいまで株価が上がってしまうこともあるのです。
成行注文
株を確実に売買したいのであれば、「成行(なりゆき)」で注文することが確実です。成行とは、「売買の値段を指定せずに注文をすること」を言います。
例えば上の図で成行で1000株の買い注文を出すと、売り板の最安値である124円で買うことができます(124円の指値(さしね)で買い注文を出しても同じです)。また、成行で5000株の買い注文を出すと、124円で4000株・125円で1000株買うことができます。
板を見ずに成行で買い注文してしまうと、非常に高い値段で買ってしまう可能性があります。
指値注文
株を今すぐ確実に売買できなくてもいいから、もっと安い値段で買いたい(もっと高い値段で売りたい)という場合はどうしたらいいでしょうか。その場合は、「指値(さしね)」で買い注文を出します。指値とは「値段を指定して注文を出すこと」を言います。
例えば上の図で124円の指値で5000株の買い注文を出すと、売り板の124円にある4000株を買うことができます。残りの1000株は買い板の124円に残り、124円で1000株以上売りたい人が出てくれば買うことができます。
123円の指値で1000株の買い注文を出すと、すぐには買えずに売り板の123円の株数が12000株から13000株に変化します。この場合、123円で売りたい人が出てこない限り、株を買うことができないということになります。
板を見ずに指値で注文しても、思うように買えるか分かりません。板を使えばある程度どのぐらいの価格で約定しそうか推測することができます。
板の厚さ
板については「厚い」と表現されるころがあります。「厚い」というのは注文が多く入っているという意味です。この板の厚さを使って、株価が今後どうなるか予測することができます。
下の図で、123円の上下の気配を見ると売り注文の方が多く出ていることが分かると思います。こういう状態を「売り板が厚い」と言います。(逆に、買い注文が多いことは「買い板が厚い」といいます)。
株の売買は売りたい人と買いたい人で株数と値段がマッチングすることで約定します。この板の状況では、126円・127円あたりの買い注文が多くあるので、「ある程度株価が上がっても126円から127円ぐらいまでかな?」というような予想ができます。
また、下の図を見て下さい。
130円で他の気配値にくらべて大きな売り注文数が入っていることが分かります。こういったキリのいい数字は株の売買の目標や目安の価格としてとらえられることが多く、キリの良い値段で株を売りたいという人が多い可能性があります。
前述のように、こういった大きい注文が入っていると、その値段でいったん株価が止まる可能性がありますが、逆にその価格を突破して株価が上がっていくと、さらに急上昇していく可能性もあります。
④チャートって何だろう?チャートから何がわかるんだろう?
次にチャートについて解説していきます。
チャートとは
チャートとは、過去の株価の変動を時系列にグラフにしたもののことです。チャートの実物は、各証券会社によって表示やレイアウトは少しずつ異なりますが、下の画像のようなものです。
棒グラフやヒゲの様な線が沢山並んでいますね。詳細の説明は後述します。
株式投資は株価が安い時に買って高い時に売る時ことで利益を出すことが基本です。もちろん、できるだけ安く買って高く売れば利幅が大きくなります。ですが、株価が今後どこまで上がってどこまで下がるのかは今の株価だけを見ても分かりません。そのため、過去の株価の動きを参考に今後の株価の動きを予測するために、チャートというツールを使います。
株価を数字で表や一覧にしても、なかなか傾向がつかみにくいものです。そのため、チャートは過去の株価の動きがビジュアルでイメージが伝わりやすくなっています。
チャートの期間
チャートは、下の図のように株価の推移を見る期間をいくつか設定して見ることができます。SBI証券では1日・2日・3日・5日・10日・1ヶ月・2ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・1年・2年・3年・5年・10年・20年・30年の16種類用意されています。
1日という期間の中の株価の動きを表したチャートを日足チャート、1週間を週足チャート、1ヶ月を月足チャートといいます。
株価の動きは、対象となる期間によって傾向が変わってくることがあります。例えば上の図は1ヶ月の月足チャートで、だんだんと株価が下がっているように見えますが、下の日足チャートでは、大きく上がった後にまた大きく下げて、結果やや下がったように見えます。
30年のチャートで見ると、一時的に大きく株価が上下したものの全体としてはやや上がっているように見えます。
このように、チャートはその期間によって株価が高い水準にあるのか安い水準にあるのか、上昇基調にあるのか下落基調にあるのかが、全く変わってくることがあるので注意が必要です。
⑤過去の株価の動きや傾向が分かる!チャートの見方
つぎに、チャートの見方について解説していきます。なお、チャートにはローソク足・バー・折れ線などいくつか種類がありますが、今回は株式チャートの基本であるローソク足チャートの見方を解説します。
ローソク足とは、チャートが表す期間の始値(はじめね)・終値(おわりね)・高値(たかね)・安値(やすね)を表したものです。
名称 | 読み | 意味 |
---|---|---|
始値 | はじめね | 寄り付きとも言い、その期間で最初についた株価 |
終値 | おわりね | 大引けとも言い、その期間の最後についた株価 |
高値 | たかね | その期間についた最も高い株価 |
安値 | やすね | その期間についた最も安い株価 |
ローソク足は、四角いボックスとその上下に伸びた線で構成されています。株価が始値よりも終値が高かった時は四角のボックスの中が白くなり「陽線(ようせん)」と呼ばれ、株価が始値よりも終値が低かった場合は四角のボックスの中が黒くなり「陰線(いんせん)」と呼ばれます。
※SBI証券では陽線は赤色、陰線は青色で表現されています。
また、上下に伸びた線のうち、上に伸びた線を上ひげ、下に伸びた線を下ひげと言います。全体として下の図のように、形がローソクのように見えるので、ローソク足と呼ばれています。
※陽線と陰線で図のように始値と終値の位置が逆になることに注意してください。
ローソク足が陽線になる時はその期間でその銘柄の買いの勢いが強く、陰線になる時はその期間でその銘柄の売りの勢いが強いということです。
ローソク足の見方に慣れてくると、パッと見ただけで株価の流れや傾向がビジュアルでつかめるようになります。
⑥過去の株価の動きから今後の動きを予測する!チャートの使い方
チャートの最後は使い方の解説です。
株価チャートによるテクニカル分析の考え方
チャートに表れる株価の流れや株価の推移の傾向を見て投資の判断をすることは、テクニカル分析と呼ばれる投資手法の1つです(ほかに、経済の動きや企業の業績を分析し投資判断するファンダメンタル分析があります)。
テクニカル分析では、過去の様々な株価の動きをパターン化し、チャートから強気のサインや弱気のサイン・上昇基調や下落基調などの傾向を読み取り、株式売買のタイミングを図るものです。
株価チャートによるテクニカル分析は、株式投資のひとつの方法に過ぎず、絶対的なものではありません。ですが、今後自分なりの投資スタイルを確率するためにも基本を抑えておきましょう。
ローソク足から見る株価の傾向
ローソク足が陽線の時は、その期間の始値よりも終値の方が高かった時です。そのため、その期間は買いの勢いが強かったことを示していて、ローソクが長いほど勢いが強いことを示しています。
逆にローソク足が陰線の時は、その期間の始値よりも終値の方が低かった時です。そのため、その期間は売りの勢いが強かったことを示しています。
ローソク足 | 示唆している状況 |
---|---|
陽線 | 買いの勢いが強い |
陰線 | 売りの勢いが強い |
長い | 勢いが強い |
短い | 勢いがそれほど強くない |
陽線が続きさらにローソク足が長いチャートが続くなら、その銘柄の買い手が多く相場に勢いがあることを示しています。逆に、陰線が続きさらにローソク足も長いと、その銘柄の売り手が多く、株価がどんどん下落している状況と言えます。
ローソク足から見る次の日の株価の予測
1日のローソク足チャートで株価の動きを見ることで、ある程度の次の日の株価の予測ができます。
例えば、長い陽線で上ヒゲが短いローソク足があったとします。このことからどんなことが分かるでしょうか?
陽線が長いということは大きく株価が上昇したということであり、買いの勢いが強いことを表しています。また、上ヒゲが短いということは、その日のなかでつけた株価のうち比較的高い値でその日の取引が終わったことを示しています。そのため、株価上昇の勢いは次の日にも続くことが予測されます。
また、短い陽線で上ヒゲが長いローソク足があったとします。この場合は、その日のなかで一時かなり株価が上昇したものの、そこから売りの勢いが強くなったため株価が大きく下がってしまったと考えられます。
そのため、株価上昇の勢いが次の日にも続くとは限らずむしろ下降する可能性もあると予測できます。
十字線が出た時の次の日の株価の予測
ローソク足チャートでは、下の図のようなローソクでない姿になることがあります。これは十字線(じゅうじせん)と呼ばれますが、どういう状況を示しているのでしょうか?
十字線は、始値と終値が同じ値段になっている状態で、買い手と売り手の勢いが同じことを示しています。この十字線が出た時は、株価の流れや傾向が変わる節目になることがあるので注意が必要です。
例えば株価が順調に上昇を続けていった場合には、通常は買い手がまだまだ上がっていくと判断して陽線が続くことが多いです。しかし十字線が出てきたということは、そろそろ下がり出すのではないかと利益確定売りをするなど、売り手の勢いが強くなりだしたことを示すためです。
⑦まとめ
今回の記事では、株式投資を始めたばかりの方向けに「株式投資の基本!分かりやすい板・チャートの見方と使い方」と題して、株を売買する時に参考にする板・チャートの見方や使い方について解説しています。
- 板とは
- 板の見方と
- 板の使い方
- チャートとは
- チャートの見方
- チャートの使い方
についてまとめています。
今回の記事をよく読み理解して頂ければ、株式投資の銘柄を選ぶ上で参考にする情報についてよく分かると思います。
株式投資はリスクが無い投資ではありません。ですが、思いつきで買うよりも、様々な情報から株価の今後の推移を予想することで、自分なりのリスクヘッジができるようになります。
株式投資に関心のある全ての方に、役立つ記事になれば幸いです。
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