今回は2/28。3/4に放送した「池上彰の経済教室 成功企業の戦略を考えるその1 その2」の要約をしていきます。
エッセンスのみを抜粋しているので生徒の話などはカットしています。
この記事はNo.1です。続きもあわせてどうぞ。
2:池上彰の経済教室 マイクロソフト 成功企業の戦略を考える2
3:池上彰の経済教室 アップル 成功企業の戦略を考える3
4:池上彰の経済教室 アマゾン 成功企業の戦略を考える4
とてもおもしろい番組ですので番組を見たい方はテレビ東京のオンデマンド契約をしてみるといいかと思います。月々500円で初月無料です。
スポンサーリンク
GoogleやAmazon、Appleなどの超有名企業にも危機的状況があったがどのように乗り越えてきたのか?
池上彰:この中からスティーブ・ジョブスのような成功者がでてくるかもしれません。よろしくお願いします。
いずれの成功者にも共通していたこと、、、それは明確な目標をそれに対してまっしぐら、決して妥協することがなかったということ、そしていずれもビジネスになるかわからない初期のころからビジネスチャンスを見つけていました。未来を洞察する力があったんですね。
スターバックスはなぜ成功したのか?
池上彰:
スターバックスで考えてみましょう。なぜスターバックスの魅力的なのか考えてみましょう。
スターバックスは他の店を何が違うのかという視点で考えてみるといいかと思います。
なぜ従業員の人がにこやかなのか?なぜ美味しいコーヒーを提供できるのか?身近なところから違いを感じ取ってほしいと思います。
スターバックスはもともとアメリカのシアトルでやってた焙煎店に一人の若者が入社するところから物語が始まります。
シアトルではなぜか美味しいコーヒー店が多く、もともとスターバックスは美味しいコーヒーを飲んでもらいたいと若者たちが始めたお店でした。
しかしスターバックスはコーヒを仕入れて焙煎する会社、焙煎して卸す会社で、お客に飲ませる会社ではなかったんです。
もともとスターバックスというのは尻尾が2つある伝説の人魚の名前でした。
スターバックスを世界的な企業にしたもともとスタバで働いていたハワードシュルツがイタリアに旅行に行き、イタリアのカフェ(バール)で気軽においしいコーヒーを立ち飲みで飲んだ時にいたく感動し、これをアメリカで広めたいと思ったところから始まるのです。
20~30年前のアメリカのコーヒーは薄くてまずいのが普通で安いコーヒーというものでした。安い豆を薄く入れて一日に何十杯も飲むのがコーヒー、アメリカではそういうものだったのです。
日本のホテルででるようなコーヒーをアメリカ人に出すと「濃すぎて飲めない」と不満があったので、アメリカの薄くてまずいコーヒーをわざわざ仕入れて飲ませてたというような話もあったくらいです。
ヨーロッパ人は「アメリカではしっかりとコーヒーが売れるわけがない」と考えていたんです。
しかしハワード・シュルツはアメリカ人にも美味しいコーヒーを飲んでもらおうと思ったところから始まるのです。みんながみんな不可能だと思っていたのです。
アメリカでは美味しいコーヒーは絶対に流行らないと言われていた。それに挑戦したのがハワード・シュルツなんです。
日本でミネラルウォーターを流行らせるくらい難しかったアメリカのコーヒー事情
今から30年前、海外ではミネラルウォーターというものがある。日本でミネラルウォーターを売る、そんなものビジネスとして成り立つわけがないと言われていました。日本は水道のレベルはトップクラスの美味しさ、ひねればおいしくて安全な水が出てくるそんなところで水など売れるわけがない。それがどうですか?今やミネラルウォーターを買うことが当たり前になっている。
同じですね。その国の趣味、思考をかえることができないといわれてきましたがすっかりと変わってしまったんです。
絶対に不可能と言われているけれどもハワード・シュルツはそうでないという揺るぎない信念をもってビジネスを始めたんですね。
ただしハワード・シュルツはスターバックスになかなか受け入れられなかったんです。
焙煎の店として始めていたスターバックスはハワード・シュルツの意見を受け入れず、ハワード・シュルツはスターバックスをやめるんです
そこでイタリア風のお店を始めるんです。オペラを流して、立ち飲みコーヒーを出す、そんな店でした。
しかしそこにきたアメリカ人は「コーヒーゆっくりのみたい」「オペラがうるさい」というクレームがあり、お店をアメリカ風に変えていくんです。
カスタマイズの重要性
問題はカスタマイズでした。
カスタマイズとはそれぞれのお客さんに合わせて変えていくということです。
いいものでもすべてが受け入れられるわけではないんです。たしかに美味しいコーヒーはひろまっていった。
美味しいコーヒーは広まっていったが、イタリア風の店構えは受け入れられなかった。
海外から自国に移植するとき、すべて同じではダメでその国の文化に合わせて少しづつ変えていかねばならないのです。
カスタマイズに成功することがビジネスを成功させる鍵なんですね。
その後、ハワード・シュルツが店をひろげていったところ、本家のスターバックスからこの店を買ってくれないかといわれ、スターバックスを買収するんですね。
そこで仕入れ、焙煎、お客への提供までを一つの店で展開できるようになったんですね
そしてロゴを変えてどんどん発展していくのです。
スターバックスが苦労した初期の資金繰り
当初一番苦労したのことはなんだったのか?
それは資金繰りです。
知り合いからお金を借りたり、投資家に出資してもらうよう説得する。
これが大変な苦労だったんですね。
当時、スターバックスの株を買っていれば今頃とてつもない大金持ちになっていたんですね。
実際にそういう人もいます。
ところがこれは結果論なんです。
いまでこそ誰もが知っていますが、「スターバックスというイタリア風のエスプレッソを飲ませる店をアメリカで展開したい」というビジネスに当時、誰がお金をだすのでしょう。
全然お金をだしてくれる人がいない。本当に大変だったそうです。
そしてスターバックスがやがて大きくなり株を上場させて、上場させると莫大なお金が入ってきますが、そこでやっと資金繰りの悩みが解消されるんですね。
スターバックスの海外展開
スターバックスは今世界中にありますが、海外の最初は日本だったんですね。
それはなぜだったのか?
日本ですとアフタヌーンティーというカフェを展開しているサザビーという会社があります。
サザビー取締役の角田さんという方がスターバックスにいき、なんて美味しいコーヒーがあるんだと感動するんですね。
そこで角田さんはハワード・シュルツに手紙を書くんです。「お菓子やおパンをおくとより良くなるのでは?」と手紙を書いたらハワード・シュルツから手紙が返ってきたんです。「おもしろいことをいうね。是非一度あいたい」とね。
そこで二人は意気投合して「日本に進出しましょう」ということになったんです。
そして1995年にサザビーとスターバックスの合弁会社としてスターバックスジャパンが設立されたんです(今はスターバックスの完全子会社)。
美味しいコーヒーだなぁで思うだけでなく更にその一歩先にでるというのはとても大事なことなんです。
一歩先に出るという行動にでたのはハワード・シュルツや角田さんだけではありません。
三和銀行の行員だった松田公太という人物がアメリカのシアトルに行き、タリーズという店に入るんですね。そこで美味しいコーヒーにいたく感動し、「これだ!日本でこれを展開しよう」と思ったんですね。
タリーズもスターバックスと同じようにシアトルに一件しかない喫茶店でした。
それをこのタリーズの名前で日本に展開しようと契約をして日本に展開していったんですね。
ただし、今、タリーズは伊藤園の傘下にあります(松田公太さんは現在政治家)。
伊藤園の自動販売機にはタリーズの珈琲がありますね。
美味しいコーヒーを日本に広めたいという思いからこれだけ大きく成功できるんだということなんですね。
しかしスターバックスはの場合、どんどん大きくなっていく段階でピンチに陥るんです。
マクドナルドに負けるんですね。
スターバックスのコーヒーがマクドナルドのコーヒーに負けた
アメリカにコンシューマーリポートというものがあります。
消費者目線からの最良のものと最悪なものをだしてやり玉にあげるんです。
このコンシューマーリポートはズバズバいうので広告を受け入れていないんです。
購読料のみで成り立っている雑誌です。
この雑誌で「それぞれの値段に見合ったコーヒー」というアンケートでスターバックスはマクドナルドに負けたんです。
「スターバックスよりもマクドナルドの方が安い割に味もかなりイケてるじゃないか?」と評価されたんですね。
スターバックスは衝撃をうけるわけです。スターバックスすぐに検証していきました。
スターバックスは大きくなる過程で焙煎したてのコーヒーを袋詰めしてお店に持ってくる、そして自動のエスプレッソマシンにかけてしまう、焙煎したての香りが店内に充満しなくなっていたんですね。
まだ小さい店の頃は合理化されておらず、効率は悪かったけど焙煎したての香りがあふれていたんです。
それに加えて、エスプレッソマシンも手動のマシーンから自動のマシーンにスターバックスは変えていったのです。店を拡大するにつれて自動でのほうが効率がよくなっていったんですね。
一方で、手で入れることでの香りや美味しさがなくなってしまったのではないか?規格化されてどこでも同じ店構えになってしまったのではないか?
その後改善しました。自動から半自動に変えていったんですね。そしてバリスタと呼ばれる人たちを養成していったんです
そしてそうなると当たり前ながら従業員のモチベーションが上がっていくんです。
全自動で誰が入れても同じというよりは自分の工夫や能力がでてくる。
自分のいれたコーヒーがおいしくなったらいいでしょ。結果士気があがっていく。
全自動をやめたことで従業員の士気が上がっていくんです。
そしてお店一点一点が違う店になっていった、店長に権限を与えて。働いていた人々が自由にお店を工夫するようになったんです。
お店が急激に広がっていった時に合理化を進めたがるがどこかで大きな落とし穴が待っているかもしれません。
代表的な例は吉野家です。
合理化にともなって、タレを液体ではなく粉末にしたことがあったんです。液体は重いですからね。輸送コストを抑えようとしたわけです。美味しそうな香りも味も落ちてしまい、見る見る売上が下がって1980年に倒産するんです。
その後大学生のアルバイトをしていた若者が「もう一度美味しい吉野家に戻せるはずだ」と思って再建に成功していくわけですが。
効率一本槍でいったことによっって肝心な風味が落ちていってしまったんです。
ある企業が大きく広がるときに効率化を進めようとするととんでもない落とし穴がまっているかもしれません。
吉野家とスターバックスにも共通点があったんですね・
日本で喫茶店の革命を起こした人物。鳥羽博道(ドトールコーヒー創業者)
イタリアのコーヒーを日本で飲んでほしいと思った日本人がいました。
鳥羽博道さんという方です。ドトールコーヒーの創業者です。
日本の喫茶店も昔はとてもまずいコーヒーを提供していたんです。
朝入れたコーヒーを夕方まで温めておく、煮詰まって苦くてたまらないコーヒーを提供していたんです。
そして喫茶店は暗くて気軽に入れるような店ではなかったんです。
明るく楽しくコーヒーを飲んでもらおうと思いコロラドコーヒー、そしてもっと気軽にコーヒーを飲んでもらおうとドトールコーヒーを作ったんです。
そしてスターバックスが参入していく中で、スターバックスに対抗するエクセルシオールカフェを作る、そして最近は星乃珈琲店を作りました。スターバックスのスターとちょっと似ていますけどね笑
こうして日本でもコーヒーが定着していきました。
日本にもカフェ文化コーヒー文化が定着していったんです。
昔から当たり前にあったわけではないですね。
スターバックスが広がることによって他の業者と切磋琢磨していくことになる。
「みんなに美味しいコーヒーを飲んでもらいたい」という思いをもったハワード・シュルツがすべてを変えていったんです。
ここまででです。次はビル・ゲイツついてです。
次の記事はこちら(池上彰の経済教室 マイクロソフト 成功企業の戦略を考える2)
他の記事はこちら
3:池上彰の経済教室 アップル 成功企業の戦略を考える3
4:池上彰の経済教室 アマゾン 成功企業の戦略を考える4
スポンサーリンク
コメント