起業や独立をする前には、さまざまな準備をしなくてはなりません。資金面における準備は特に忙しいものですが、「起業家として必要なもの」を事前に見極めておくことも、成功するためには必要な準備です。冷静に自己分析をして、自分に欠けている能力が見つかったら、その部分を補う努力をするようにしましょう。
そこで今回は、起業家として成功する人・失敗する人10の特徴をご紹介していきます。
■起業家として成功する人の10の特徴
まずは、起業家として成功する人の10の特徴から見ていきましょう。起業家はサラリーマンとは違い、さまざまな問題を自分だけで解決をする必要があるので、以下のように幅広い能力が求められます。
【その1】お金に関する情報をしっかりと把握している
経営をするにあたって、起業家にとって最も重要になるのが「お金」です。お金は経営状況に直結するものなので、経営者は自社のお金に関する情報をしっかりと把握しておかなければなりません。
特に重要になるのは、会社の「キャッシュフロー」です。会社がどこに資金を費やしており、どこからどれぐらいのお金が入ってくるのかを理解しておくことは、スムーズな経営には必須と言えるでしょう。
また、新しい事業を考案する際には、世界の経済の動きを把握しておくことも大切です。自社に限らず、さまざまな地域や業界などのキャッシュフローを理解しておきましょう。
【その2】失敗を恐れず、失敗してもネガティブにならない
企業にとって、リスクヘッジはもちろん大切なことです。しかし、いくらリスクがあるからと言って、消極的に行動をするとせっかくのチャンスを逃してしまうでしょう。
そのため、経営者には「失敗を恐れない心」が必要になります。的確に経営判断をするためには積極性は欠かせない要素となるので、リスクヘッジを施した上で積極的に行動することを心がけましょう。
また、仮にひとつの事業で失敗した場合に、いつまでも後悔をするべきではありません。失敗しないための対策を考えることは必要ですが、ネガティブになると積極性を欠いてしまうので、失敗をしてもポジティブに考えることを意識しましょう。
【その3】周りの人に流されない
「周りに流されないこと」も、経営者には必要な素質です。周りの意見に流されると、斬新なアイディアが浮かばなくなったり、人を惹きつけて人脈を築くことが難しくなったりするためです。
経営者はさまざまなケースにおいて、自分を信じて決断をしなければなりません。従業員を正しい方向性へ導くためにも、自分にしっかりと自信を持って周りに流されないようにしましょう。
【その4】使命感を持っている
「使命感」を持って経営にあたれば、どのようなケースでも前向きに仕事をすることができます。また、事業には時に継続性も必要となりますが、同じ仕事を長い期間続けるために、使命感は必要不可欠な要素と言えるでしょう。
例えば、「自分がいなければこの業界は発展しない」「~のために、自分がこれをしなくてはならない」のような使命感を持っていれば、常に前を向いて積極的な行動ができるはずです。
【その5】事業を始める前に準備ができる
事業というものは、入念に準備を進めておかないと成功する可能性が下がってしまいます。準備は事業のリスクヘッジにもつながるので、必要な準備については必ず事業を始める前に済ませておきましょう。事業に必要な準備としては、主に以下のものが挙げられます。
・商品やサービスの詳細を決める
・会社の強みやアピールポイントを見つける
・短期的な目標と中長期的な目標を立てる
・市場調査を行う
・資本金を用意する
・将来の予算計画を立てておく
事業のリスクを抑えるには、ほかにもさまざまな準備が必要となります。必要な準備は業界や事業内容、地域などによって異なるので、まずはどのような準備が必要になるのかについて考えてみましょう。
【その6】スピードを重視する
経済や市場の状況は、短時間で変わってしまうことも多くあります。そのため、「スピード」は経営の重要な要素のひとつであり、経営者は良いタイミングを逃さないように、早めに行動を起こさなければなりません。
ただし、スピードだけを重視すると仕事の質が落ちてしまいます。したがって、一定の質を保ちながらも、時間を無駄にしないようにスピーディーに動くことを意識しましょう。
【その7】時間を上手に使う
成功する起業家は、時間の使い方が上手です。単に仕事が速いというだけではなく、「何に時間を割くべきか」「どの時間を省くことができるのか」を常に考えながら仕事にあたっています。
睡眠時間などを削っても、経営に費やせる時間には限りがあるので、1分1秒を無駄にしないように効率的に行動することを意識しましょう。もちろん、時間の無駄が見つかった場合には、その無駄を省く対策を立てるべきです。
【その8】リーダーシップやカリスマ性がある
経営者は有能な人材を集め、それらの人材を引っ張っていく能力が必要となります。そのため、リーダーシップやカリスマ性も、起業家には必要不可欠な要素と言えるでしょう。
従業員を引っ張っていくためには、的確な判断や独創的なアイディアなどが必要です。リーダーシップやカリスマ性は簡単に鍛えられるものではありませんが、起業に向けて入念に準備を行うことで、ある程度はカバーすることができるでしょう。トラブルに対する打開策を練っておくだけでも、従業員からは頼られやすくなります。
【その9】常に謙虚に振る舞う
経営者は従業員や顧客、お得意様など、さまざまな人から好かれなくてはなりません。良好な人間関係は、スムーズな経営には必要不可欠です。
したがって、起業家には「常に謙虚でいること」が求められます。ひとつの事業に成功したからと言って、横柄な態度を取らないようにしましょう。もちろん、普段の振る舞いだけでなく、心の中を謙虚にすることも大切です。
【その10】行動力があり、有言実行をする
発言力や行動力がないと、従業員を引っ張っていくことができません。従業員の能力を活かすには、経営者との信頼関係が重要になってくるので、発言したことに対しては責任を持ち、有言実行することを心がけましょう。
有言実行を普段から心がけていれば、従業員に仕事に対する熱意が伝わり、社内全体のモチベーションも高まってくるはずです。
■起業家として失敗する人の10の特徴
起業で成功を収める人と同様に、起業家として失敗する人にもいくつかの共通点が見られます。その共通点を把握しておけば、事前に対策を立てることで失敗を避けられる可能性があるでしょう。
そこで次からは、起業家として失敗する人の10の特徴をご紹介していきます。
【その1】数字に弱い
数字に弱い起業家は、お金の流れを明確につかむことができません。逆に、数字に強い起業家はキャッシュフローを常に理解し、お金の無駄を的確に省くこともできるでしょう。
数字に強くなれば、新聞などから得られる情報も増えてきます。例えば、株価からは経済の流れや各社の経営状況などを読み解くことができるでしょう。
効率良く情報収集をするためにも、起業家は数字に強くなることが必要です。
【その2】ビジネスモデルを重視しすぎている
事業をスムーズに進めていくためには、具体的なビジネスモデルが必須となります。しかし、ビジネスモデルだけを重視し過ぎていると、トラブルが起きた時に対応が遅れてしまう可能性があるでしょう。ビジネスモデルが優れているだけでは、会社はうまく回りません。
経営においては、ビジネスモデル以外にも重視するべきものがあります。例えば、以下のものはどのような会社においても、重視するべきポイントと言えます。
・経営に関する基礎知識
・仕事のモチベーションとなる使命感
・従業員を上手に活かす指導役
ビジネスモデルを考案したら、そのビジネスモデルを実現するためには何が必要になるのかを考えた上で、起業の準備を進めていきましょう。
【その3】自覚や覚悟が足りていない
「社長になってみたい」といった漠然とした夢を持っているだけでは、事業を成功させることは難しいと言えます。一般的には華やかなイメージのある社長ですが、事業を成功させるためには多くの努力が必要であり、もちろん社長自身も行動をしなくてはなりません。
例えば、事業が軌道に乗るまでは、思ったように休暇を確保できないこともあるでしょう。このような覚悟が不足していると、スムーズに経営することは難しくなります。
起業を目指している方は、今一度「社長を目指すとは、どういうことなのか」を確認した上で、その覚悟が自分にあるのかどうかを考えてみましょう。
【その4】分析をあまりしない
会社にとって、「分析」は非常に重要な行動です。失敗した時も成功した時も、その要因を分析しない限りは経営を安定させることはできません。また、新しい事業を始める際にも、市場などの分析が必要となります。
もちろん、分析通りに全ての事業が進むわけではありませんが、分析をすることで事業のリスクやその対策法などが見えてきます。そのため、起業家は多方面から情報収集をして、時間をかけてさまざまなことを分析する必要があるでしょう。
【その5】準備に力を入れない
事業を始めるタイミングは、成功を収める上で重要なポイントとなります。しかし、いくらタイミングが重要だからと言って、準備不足の状態では事業は成功しないでしょう。
事業の準備を怠ると、急なトラブルに対応できなかったり、顧客の希望に応えられなかったりしてしまいます。事業を始めた後に生じるあらゆるケースを想定し、どのような状況になっても困らないように、しっかりと準備を進めておくべきです。
【その6】手を抜くことを考える
経営者が手を抜くと、顧客や従業員の満足度に影響が出てきます。特に顧客を満足させるためには、商品やサービスの内容、アフターサービスなどに関して徹底的に力を入れる必要があるでしょう。
どこかで手を抜くと、消費者や従業員にそれが伝わることで会社の評判が下がったり、会社全体の効率が落ちたりしてしまいます。社長は常に誰かから見られる存在なので、仕事に対しては常に真摯に取り組むことが大切です。
【その7】事業計画書の段階でしっかりと練りこんでいない
起業をしてからは、事前に作成した事業計画書の通りに事業を進めることになります。そのため、事業計画書自体の質が低いと、事業の成功率は大幅に下がってしまうでしょう。
もちろん、全ての事象が事業計画書通りに進むわけではありません。しかし、質の高い事業計画書がなければ、対応が遅れたり余計な手間が生じたりしてしまいます。事業計画書の質は融資の審査にも関わるので、内容にこだわって作成しましょう。
【その8】流行に乗っかろうとする
流行を反映させた商品やサービスは、一時的に売上が伸びやすくなります。しかし、流行はいずれ過ぎ去るものなので、流行に固執していると経営を安定させることは難しくなるでしょう。
また、ある流行の知名度が高くなった時点では、すでに他社がその流行を反映させた商品開発に取り組んでいることが予測されます。そのため、流行をただ追いかけているだけでは、社会の生存競争に勝つことはできません。
起業家として成功するためには斬新なアイディアを生み出す必要があるので、斬新性や独自性も重視しましょう。
【その9】誰かをマネしようとする
流行に乗るのと同様の理由で、誰かをマネする方法も選ぶべきではありません。ある事業で最初に成功を収めた人は、「パイオニアだからこそ」成功した可能性があるためです。
また、誰かをマネする経営方法では、周りの従業員を引っ張ることも難しいでしょう。従業員から信頼を得て、会社全体のモチベーションを高めるには、独自性を備えた社長であることが大切です。
【その10】周りに依存しすぎている
会社の経営を安定させるには、会社全体で目標に向かって進むことが大切です。しかし、だからと言って常に周りに頼っている経営者は、周りからの信頼を得られないでしょう。
社長は会社に関するあらゆるトラブルについて、ひとりで解決できる能力が求められます。従業員は基本的に会社ではなく、自身の生活を重視して行動をしているケースが多いので、従業員に頼りすぎると思わぬトラブルを招く可能性もあるでしょう。
従業員などと協力をすることは大切ですが、社長は依存しすぎないように普段から意識しておく必要があります。
■まとめ
いかがでしたでしょうか?
将来的に社長になる起業家は、誰よりも会社のことを考えて行動をする必要があります。そのため、あらゆる問題にひとりで立ち向かうことになり、問題の解決には幅広い能力や素質が求められます。
今回ご紹介した内容を参考にしながら、自分には何が不足しているのかを見極め、不足している部分を補う努力をしていきましょう。