運転資金の融資を受ける5つのコツ!正しい計算で確実に借入できる

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運転資金」という言葉、きちんと理解していますか?

運転資金は会社を経営する上で、とても重要になる資金です。この運転資金の理解を深めることで、無駄な借り入れも防げるでしょう。

また、運転資金の融資を受ける際には、いくつかコツを押さえた上で申請をすることが大切です。事前に行う準備によって審査結果が左右されることもあるので、審査に向けた準備は必ず済ませておきましょう。

ここでは、運転資金に関する基本情報と、融資を受ける5つのコツをご紹介していきます。

■そもそも運転資金とは?

運転資金とは、商品の仕入れ、諸経費の支払いなどで発生するお金のことです。運営資金や回転資金と呼ばれることもありますが、ここでは運転資金に統一して説明していきます。

運転資金は、「設備資金以外の資金」という位置付けになります。つまり、事業を続けるために継続的に必要になる資金であり、不動産費用や設備を購入する費用は運転資金には含まれません。

運転資金が不足すると、会社は事業を続けることができないので、利益を上げることも難しくなります。

■運転資金の種類を解説!

運営資金の種類は、大きく分けて5つあります。融資を受ける前に、運転資金の種類をしっかりと把握しておきましょう。

【その1】経常運転資金

経常とは、「通常の」という意味です。正味営業運転資金とも呼ばれており、運転資金の中で最も多い割合を占める種類となります。

日々の経費だけではなく、人件費や地代家賃なども含まれます。

【その2】増加運転資金

順調に売上が伸び始めて発生する資金のことを、増加運転資金といいます。

一般的な事業では、売上が伸びることにより、人件費や光熱費などのさらなる資金が必要になります。伸び始めた売上金が手元に入るまでの間、自分でさらなる資金を立て替えなければなりません。
そこで、売上金回収までの「つなぎの資金」としてねん出されているのが、増加運転資金です。在庫の水準を上げたり、新たな取引先と契約したりする際にも、この増加運転資金が必要になります。売上金の回収前に倒産してしまう前に、増加運転資金分の融資を受けるケースは多く見られます。

【その3】減少運転資金

増加運転資金とは正反対にあたる資金です。売上減少に伴い、「売上規模の縮小による諸経費」「売上好調だった頃の仕入れ代金」「多く雇っていた従業員の人件費」などが支払えないときの資金が、減少運転資金にあたります。
前向きとはいえない運転資金のため、減少運転資金が発生したら売上を伸ばすか経費削減を行うことで、資金不足を解消しなければなりません。それまでの間、減少運転資金分の融資を受ける必要も生じてくるでしょう。

【その4】季節運転資金

従業員への賞与(ボーナス)支払いなどで生じる、特定の季節に必要な資金のことです。また、特定の季節に商品の売上が向上し、その仕入れのための資金を季節運転資金と呼ぶこともあります。

季節運転資金の融資では、1年以内の短期返済が一般的な返済方法となっています。

【その5】設備未払金決済運転資金

設備購入から半年以上が経過すると、設備資金が「運転資金」としての取り扱いになります。何らかの理由で設備購入資金が不足してしまった場合、半年後の決済では「設備未払金決済運転資金」と呼ばれるので注意しましょう。

半年以内の設備資金決済ならば、貸付金利や返却期間などで優遇されることがあります。

■正しい計算方法をわかりやすく解説!

運転資金の具体的な金額は、計算によってある程度予測することができます。融資を受ける前に「経営状況を見直すきっかけ」にもなるため、下記を参考にしながら一度計算してみましょう。

○計算方法

「経常運転資金」の計算方法は、下記の式で求めることができます。

(受取手形+売掛金+棚卸資産)-(支払手形+買掛金)

この計算式によって、現状において支払いが難しい運転資金の金額が推測でき、銀行などの金融機関でも「所要運転資金」として融資額を決定します。この計算式は、在高方式(ありだかほうしき)と呼ばれています。
上記の式の受取手形と売掛金は、「商品を売り上げたものの、資金回収が済んでいない資金」を指します。また、棚卸資産とは、「仕入れをしたものの、資金回収が済んでいない資金」のことです。

これら3つを合わせた金額から、「これから支払う資金」である支払手形と買掛金の金額を差し引くことで、経常運転資金が分かります。

 

■運転資金の融資を受ける5つのコツ

金融機関は、基本的に上記でご紹介した計算式に当てはめて、会社の経営状況を確認します。その計算結果はもちろん審査の判断材料となりますが、そのほかにも審査ではさまざまな情報が確認されています。

では、融資審査に通過する可能性を高めるには、どのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか?以下では審査のコツを5つご紹介していきましょう。

 

【その1】必要な金額を明確にする

融資の審査担当者は、具体的な数字から会社の経営状況を確認しようとします。そのため、事業計画書などに使途が曖昧な資金が含まれていると、申請者へのイメージは悪くなってしまうでしょう。

審査を通過する可能性を高めたいのであれば、各資金にどのような使途があり、最終的にいくら必要になるのかいう部分を明確にすることが必要です。各資金の使途が分かっていれば、審査担当者も安心して話を聞くことができるでしょう。

また、会社を立ち上げたばかりだと、「きちんと返済できる」という部分を証明するための実績がなかなか見つかりません。そこで、会社の実績が少ない場合には、「金額を抑えて小口融資にする」ことを検討してみましょう。一度でもその金融機関に完済した実績があれば、次回から融資を受けやすくなる可能性があります。

【その2】融資が必要になった理由を明確にする

なぜ、融資が必要になったのか」という理由を伝えることも、審査においては重要なポイントになります。その要因を今後解消できる見込みがない場合は、金融機関が積極的に融資をする可能性は低いでしょう。そのため、融資が必要になった理由を明確にして、その問題の解決策を伝えることが大切です。

運転資金の種類を把握していれば、不足している資金が把握できて、自社が抱えている問題も見えてくるはずです。問題点の例としては、仕入れ代金の支払いと売上代金の回収のタイムラグなどが挙げられるでしょう。

また、自社の問題点や対策を伝える際にも、具体的な数字を伝えることで、審査担当者の理解度を深めることができます。

【その3】借入期間を明確にする

いつ資金が必要になり、いつまでに返済する予定なのか」という部分も、融資を受けるときに明確にしておきたい内容です。金融機関は、返済予定や返済能力を特に重視する傾向にあるので、今後の資金計画については必ず伝えるようにしましょう。

あなたの事業方針や今後の戦略について熱心に語るだけで、審査担当者も評価してくれます。このとき、無理のない返済計画も一緒に伝えておくことで、金融機関からの信頼を得やすくなります。
「頑張ります」「何とかします」といった口約束では、相手を納得させることは難しいでしょう。実現可能な返済プランを伝えることが、融資を受けるときの重要なポイントになります。

【その4】自社をしっかりと分析する

「ビジネスとして成功する可能性があるのか?」「事業の将来性はあるのか?」など、金融機関もシビアな目線で審査をしています。そのため、しっかりと分析することで自社のセールスポイントを見出し、アピールできるようにしておくことが必要です。
融資が受けられるかどうかは、主に「収益性・安全性・成長性・返済能力」の4つのポイントが重視されます。このポイントのうち、自社のどこに問題があるのかどの部分に強みがあるのかを明確にしておくことで、今後の経営プランも立てやすくなるでしょう。

また、将来に関する分析を行う場合には、根拠のあるデータを参照にすることが重要です。例えば、政府が発表している経営指標などを活用すれば、審査担当者への説得力も高まるでしょう。

【その5】保証人を慎重に選ぶ

融資においては、保証人を用意したほうが審査に通りやすくなります。特に実績が少ない会社については、担保や保証人を用意しなければ信用を得ることが難しい場合もあるでしょう。

この時の保証人についてですが、保証人に関しては適当に選ぶべきではありません。返済が滞ってしまった場合、代わりに返済できる方がどのような状況なのかによって、審査の通りやすさも変わってきます。例えば、100万円の融資(毎月2万円の50回払い)を受けるとするならば、保証人は経済的にある程度余裕のある、サラリーマンの方でも問題ないでしょう。
しかし、1,000万円の融資を受けるとなると、保証人がサラリーマンでは信用性に欠けてしまいます。土地などの資産を持っている方を保証人に選んだほうが、金融機関は納得するでしょう。
金融機関は基本的に、「貸したお金が確実に返ってくる相手」に対して融資を行います。資産を持っている保証人がいれば、高額の融資でも積極的に検討してもらえるでしょう。

ただし、保証人に頼るのはどうしようもなくなったときです。保証人に迷惑をかけることのないように、計画的に返済してください。

■売上が増えても、必ずしも経営が楽になるわけではない?

By: blair

By: blair

経営が軌道に乗り、売上が好調になった場合でも、運転資金について考える必要があります。会社によっては、以下のような理由で売上が増えても経営難に陥ることがあるため、注意しておきましょう。

 

○経営状態の変化

現代では情報社会がますます発展しており、以前よりも会社の経営状態が変化しやすいとされています。そのため、一時的に売上が伸びたとしても、その後良好な状態が長く続くとは限りません

このようなケースで仕入れを行うと、多くの在庫を抱えてしまう恐れがあります。数週間や1ヶ月など、短期間で経営状態が変わるケースも珍しくないので、一度売上が伸びたからと言って安心しないようにしましょう。

○売上の増加で、さらに運転資金が必要になる

運転資金の借り入れを適切なタイミングで行っていたとしても、売上の増加によって経営が苦しくなる可能性があります。これは、売上の増加により、仕入れ費などの運転資金がさらに必要になるためです。新たなスタッフを増やしたり、在庫水準を増やしたりする費用も、会社によっては必要になってくるでしょう。
多くの会社では売上金が入ってくるまでの間、高水準の経営環境で過ごす必要があり、その期間は資金繰りに苦しむことが予想されます。ただし、そのような状況で金融機関から融資されれば、ハイパフォーマンスの状態で経営を続けられるでしょう。

 

金融機関は会社の経営状況を細かく確認するので、売上が増加したからと言って融資をするわけではありません。逆に、経営状態が苦しい状態であれば、会社の評価が下がってしまう恐れもあります。

なかなか融資を受けられず困っている場合は、売掛金を売却することで資金を得られるファクタリングを活用してみましょう。ファクタリングは融資とは異なるので、審査に落ちてしまう可能性が高い会社でも、資金を調達できる可能性があります

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■まとめ

いかがでしたでしょうか?

一口に「運転資金」と言っても、さまざまな種類の運転資金があります。あなたがどのような理由で資金不足に陥っているのか、運転資金の内訳を確認することで判断できるでしょう。
また、特に注意が必要になるのは、「売上が増加すれば、さらに運転資金が必要になる」という点です。儲かれば融資を受ける必要がなくなるわけではなく、人件費の増加、在庫水準の上昇、企業規模の拡大など、お金の問題は尽きることがありません。

そのため、経営者や起業家の方は常に運転資金を意識し、資金不足を感じたら早めに行動するようにしましょう。

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