どうしてもお金の支援が必要な時、まっさきに活用して頂きたい制度があります。それは、公的な支援です。
あなたの経済状況や家庭環境、就労の有無によって、様々な公的支援を得ることができます。
この記事では、経済的に自立するために一時的にお金の支援を受けたい方が、権利として受け取ることができる公的支援をご紹介します。
その公的支援は、大きく分けて2種類あります。
「雇用保険」・・・あなたが企業等で働いた期間が一定以上あり、雇用保険を収めていて就労の意思がある場合に支払われます。
「公的貸付制度」・・・国から低利子、または無利子でお金を借りる事ができる制度です。
雇用保険をさらに4種類、公的貸付制度を3種類にわけ、合計7種類の公的な支援を得る方法がありますので、その中にあなたにぴったりの支援が見つかることでしょう。
失業して仕事を探している途中なら雇用保険をもらおう
あなたが元サラリーマンで、会社が倒産した、または解雇された等の理由で失業中である場合、雇用保険がうけられる場合があります。
ただし、ハローワークなどで求職中であることなどいくつかの条件がありますので、以下の4つの給付をよく読んで、必要な給付を選びましょう。
支援①求職者給付
もらえる条件
失業し、仕事を探している間にもらえるのが求職者給付です。
求職者給付にも様々な種類がありますが、一番よく用いられる「基本手当(失業給付)」について紹介しましょう。
よく勘違いされるのが、失業中だから自動的にもらえるというものです。しかし、基本手当を受け取るためには「求職中」であることが条件です。なぜなら、これは一日も早く再就職したい人のための給付だからです。
申請方法
基本手当を受け取るためにはハローワークに行き、受給手続きをする必要があります。
また、一度申請するだけで終わりではなく、一ヶ月ごとにハローワークに行き、求職状況を報告する必要もあります。
もらえる給付額
基本手当は、退職前6ヶ月間の給料で決まります。
退職前に残業をすると給付額がアップするという裏技もあります。 計算方法はとても面倒ですが、過去6カ月の給料を一日辺りに換算した額の約50~80%と考えると良いでしょう。
もらえる期間
基本手当をもらえる期間は、自己都合で退職したか会社都合で退職したか、や雇用保険料を支払った期間や年齢によって、90日~360日と様々です。
さらに、「妊娠、出産、育児、疾病、負傷」で30日以上働けないときは基本手当の適用期間をずらすことができます。
その時は、「受給期間延長申請書」を提出しましょう。
・自己都合退職の場合(失業後、3カ月は受給できません)
雇用保険の加入期間 | 10年未満 | 10年~20年 | 20年以上 |
所定給付日数 | 90日 | 120日 | 150日 |
・会社都合退職の場合
退職時の年齢 | 雇用保険の加入期間 | ||||
1年未満 | 1年~5年 | 5年~10年 | 10年~20年 | 20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | なし |
30歳~35歳 | 90日 | 90日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳~45歳 | 90日 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳~60歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
・障害者等就職困難な場合
退職時の年齢 | 雇用保険の加入期間 | |
1年未満 | 1年以上 | |
45歳未満 | 150日 | 300日 |
45歳~60歳 | 150日 | 360日 |
基本手当の例
たとえば、あなたが月給20万円、35歳で勤続年数2年で会社都合で失業したとすると
給付日数 90日
一日にもらえる額 4,747円
一ヵ月にもらえる額 132,940円
となります。
支援②就業促進給付
2つめは、再就職したときにもらえる、手当です。言ってみれば再就職のお祝い金のようなものですね。
ただし、上記の基本手当と同時受給はできませんので注意しましょう。
就業促進給付には3種類ありますので、それぞれの特徴を把握しましょう。
再就職手当
正社員のように安定した職に就くことができた人が対象となります。受給にはいくつか細かい条件がありますが、雇用保険の受給期間中で継続雇用の意思があればたいていもらえます。
就業手当
アルバイトなどの非正規型の仕事に就いた人が対象となり、再就職手当よりも少し受給要件が緩いです。よほどいいかげんなことをしない限り、高い確率でもらえるでしょう。ただし、一年以内の短期的な職業への就職の場合に限られます。
常用就職支度手当
障害者や45歳以上の人が就職したときに貰える手当です。就業が困難として再就職援助計画などに当てはまる人が対象となるものです。
支援③教育訓練給付
新しいスキルを得るときにもらえる
就職に当たって、新たなスキルを得るために職業訓練学校等に通うときにもらえる給付です。 山田洋次監督の映画「学校Ⅲ」では、失業した中高年者が職業訓練を行う話でしたが、そのようなイメージだと思うと良いでしょう。
もらえる条件
職業訓練学校や講座、通信教育を受ける場合でも受給できますが、「厚生労働大臣が指定する教育訓練であり、修了していること」などいくつかの条件も必要になります。
申請方法
申請は、教育訓練が修了してからになりますので、注意が必要です。
修了から一ヶ月以内にハローワークで手続きしましょう。
教育訓練の種類
教育訓練には、実際の職場で役立つ様々な種類があります。
・管理・事務系・・・経理、財務、営業、総務、管理業、経営企画など
・機械系・・・機械加工、成形加工、機械制御など
・電気・電子系・・・電気工学、電子工学、音響、画像処理など
・情報・通信系・・・システム設計、データベースなど
・化学系・・・化学、塗装技術など
・居住系・・・建築、施工など
・デザイン系、その他・・・各種デザイン、医療、福祉、食品サービスなど
支援④雇用継続給付
雇用継続給付は、失業はしていないけど給料が下がった場合にお金が支援されます。
3種類あります。
高齢者雇用継続給付金
60歳以上65歳未満の高年齢者で、定年前より大幅に給料が下がった人がもらえます。
同じ職場にとどまった場合でも、再就職した場合のどちらでももらえます。
育児休業給付金
1歳未満の赤ちゃんを育てるときに支援が受けられます。
働くママのための給付、というイメージが強いですが、「イクメン」(育児をするパパ)が取得するケースも増えているそうです。
2人目、3人目でも取得できますし、養子であっても支援が受けられるのだそうです。
介護休業給付金
高齢化社会になり、家族の介護が必要になるケースも多くなります。
実際に介護のために離職し、生活が成り立たなくなってしまうケースすらあるそうです。しかし、この制度を使えば介護をしながらでも生活の質を落とさずにすみます。
無利子で借りる事も可能な制度を活用しよう
生活に本当に困っている世帯が無利子、または極端に低い金利でお金を借りることができる制度、それが公的貸付制度です。
いろいろな種類がありますので、よく読んで自分に当てはまるかどうか確認しましょう。
支援⑤生活福祉資金活用制度
もらえる条件
会社の倒産や失業により低所得になった世帯や障害者世帯、高齢者世帯、失業者世帯などがうけることができる制度です。
世帯の安定や自立を目的として支援しているものです。
申請方法
住んでいる地域の社会福祉協議会で申請することができます。
申請できる世帯
低所得者世帯 | 所得が低く、金融機関などからの資金の借り入れが困難な世帯 |
障害者世帯 | 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人がいる世帯 |
高齢者世帯 | 日常生活で療養や介護を要する65歳以上の高齢者がいる世帯 |
失業者世帯 | 家計を支える人の失業により、生計の維持が困難となった世帯 |
融資限度額、利率、返済期間
下記のような支援の種類や条件によって低利子、または無利子で借りられます。
種類
総合支援資金 | 生活支援費(上限:2人以上世帯月額20万円・単身月額15万円×最長12ヶ月)などの貸付制度 |
教育支援資金 | 低所得世帯の子供が就学に際し必要となる資金の貸付制度 |
福祉資金 | 低所得世帯、障害者世帯又は要介護高齢者世帯に対し貸し付け制度 |
不動産担保型生活資金 | 高齢者世帯が将来にわたって特定の不動産に住みたい場合、毎月の生活費が貸し付けされる制度 |
支援⑥臨時特例つなぎ資金
もらえる条件
「つなぎ」という名の通り、雇用保険や生活保護などがもらえるまでのつなぎ資金です。
失業その他の理由で住居を失っている離職者限定でもらえる支援です。
申請方法
新しく賃貸住宅を確保しようとする地域の社会福祉協議会に申請する必要があります。
雇用保険や生活保護、総合支援資金貸付、住宅手当などを忘れずに先に申請して下さい。また、預金通帳と印鑑が必要になります。
申請できる人
失業中で住居を失っており、所定の公的支援を申請し受理されている人です。
融資限度額、利率、返済期間
限度額は10万円で無利子です。
返済は、申請していた公的資金が支払われた後でよいです。
保証人は不要です。
支援⑦緊急小口資金
もらえる条件
「緊急」と名がついているように、緊急で一時的に生活が困難な状態に陥った場合に、生活費の一部が支援される制度です。 「緊急」とはどのような場合かというと
・自分や家族が急病になり、一時的に支払いが多くなった
参考)一ヶ月にかかった医療費が7万円以上の場合、「高額医療費控除」がうけられる場合もあります。
・給料を盗まれてしまった、未払い
・火事、台風などの災害
・水道管の破裂、ガス漏れなどで高額の請求がきた
などの場合です。
申請方法
上記のような緊急事態が起こったときに、社会福祉協議会に相談して貸し付けを申請することができます。
申請できる世帯
低所得者世帯、障害者世帯、高齢者のいる世帯です。
融資限度額、利率、返済期間
限度額は10万円で無利子です。
また、8カ月以内に返済する必要があります。
保証人は不要です。
それでもだめなら生活保護?
公的な支援として、真っ先に「生活保護」を思い浮かべられる方もいらっしゃるかもしれません。
生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を行政が保障する制度です。
ただし、日本の生活保護は支給条件が厳しく、また自立を促進するという意識が弱いと言われています。また、いったん生活保護を受給すると、そのままの生活が続く傾向も強いので、あまりおすすめできません。
どうしても生活に困った時の最後の手段と考えましょう。
まとめ 早めに「自立」しましょう!
やむを得ない事情は誰にでもあるものです。そして、そのような状況はある日突然訪れるのが普通です。
いざというときに備えて、これら7つの手段を知っておくことはとても大事ですし、友達にも教えてあげることもできます。
これらのお金の支援は、ただ待っているだけではうけることができません。ハローワークや社会福祉協議会など、自分から申請しないといけないのです。
知らないままでいたら、損してしまうこれらの制度は、権利としてもらうことができますので、遠慮せずに分からないことは行政に尋ね、堂々と胸をはって受け取りましょう。
番外編 キャッシング
公的なお金の支援を受けられなかった場合の切り札
公的な支援は多くの人が受給できますが、ちょっとした条件の違いで支援を受けられないことも考えられます。
日数が1日足らなかったとか、所得の条件を満たしていなかったとか、年齢が1歳若かったなどでもらえなくなってしまう、という不運も有り得ますし、行政は見逃してくれません。
そんな時は、民間のキャッシングを使うことも考えましょう。
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